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アボカド栽培の肥料の与え方や季節ごとに注意すべきことは?

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アボカド栽培の肥料の与え方や季節ごとに注意すべきことは?

最近アボカドの栽培に注目が集まっていると聞きました。

しかし、近くの農家さんから話を聞くと、結果率が低く、落下して売り物にならないなど、手間がかかりデリケートな品目だと言われました。

でも、個人的にもアボカドが好きなので、ぜひ挑戦してみたいと思い現在勉強中です。

経験上、品質の良い実を安定的に収穫するためには、しっかりと施肥することだと思うのですが、正しいアボカドの肥料の与えかたについて教えてください。

また、作型も決めていないので、季節ごとの肥料の与え方のポイントも知りたいです。

橋本純子

株式会社アンファーム 栽培担当

アボカド栽培では元肥や年3回の追肥を行ってしっかりと栄養を補給する必要があります

アボカド栽培の肥料の与えかた


アボカドは結果率が1万花に1果程度と極めて低い植物です。

着果した後も新枝との養分の取り合いで生理落下が多く見られる植物のため、こまめに肥料を与えることが大切です。

また、収穫量が多かった年の翌年に収穫量が減少する隔年結果性の植物でもあります。

隔年結果を少なくし、安定的に収穫するためにも、施肥やかん水をこまめに行う必要があります。


アボカド栽培の元肥


アボカドは水はけが良い土壌を好む植物です。

水はけが悪い粘土質などの土壌では大雨が降った後などに根腐れを起こしてしまう可能性があるので排水対策などの改良が必要になります。

水はけの悪い土壌は定植する前に有機質資材を使っての土壌改良、高畝にする、排水用の溝を掘る、花崗土などを客土する、など必ず排水性を良くすることをおすすめします。

植え付けの時期は霜が降りなくなる春ごろ(地域によって若干違いますが4月末から梅雨明けまで)が適しています。

苗を植え付ける前に土に肥料を施すことを元肥といいます。

春に植え付けをする場合は、冬に元肥を施して土づくりを行う必要があります。

具体的には、80センチ四方程度の植え穴を用意して株間を3mから5m程あけます(この株間は植える品種の樹形によって決めます)。

植え穴の土にバーク堆肥と元肥を混ぜ合わせて埋め戻します。

元肥は土の状態によって変わりますが、当園ではバーク堆肥40L、苦土石灰3kg、溶リン2kgを植え付け2か月前までに混ぜ合わせるようにしています。

また、アボカドは弱酸性(pH5.5~6.5)の土壌を好みます。元肥として与える堆肥などの散布で土壌が酸性になる傾向があるため、それほど心配しなくてよいでしょう。

逆にpHが低すぎる場合には、石灰質資材を散布してpHを調整する必要があります。


アボカド栽培の追肥


アボカド栽培では、春、夏、秋に、年3回の追肥を行います。

肥料の三大要素となる窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)が等比で混合されている肥料(8-8-8や10-10-10)、ミカン用肥料やリン酸が多めのものを選びます。

季節によっては液体肥料も用意しておくとよいでしょう。

施肥により、個体維持のための栄養成長と、種族維持のための生殖成長のバランスを上手くとることができれば、アボカドは元気に育ちます。

ここに述べる施肥量はあくまでも目安となります。

実際の樹の状態を見ながら加減してあげることをおすすめいたします。

アボカド幼木への追肥


生長した成木へは年3回の追肥を行いますが、植え付けから3年ほどの幼木では、成木と比べて控えめに追肥を施します。

回数は5回程度に分けて行います。

幼木は根が浅く、塩害に弱いため、一度に肥料を与えすぎると弱る原因となります(肥料やけ、根やけ、肥やけども言います)。

複数回に分けて、少量ずつ固形化成肥料(IB化成)などを施しますが、目安として1年生樹はIB化成を1本あたり20粒/回ほど、2年生樹は8-8-8を100g/回ほどを与えます。

また、根張りを良くするためには、敷草などによって有機マルチで土壌の表面を覆うと良いでしょう。微生物が増え土が肥えると同時に乾燥を防いでくれます。


アボカド栽培の春肥


植え付けから4年ほど経過した成木は、3月下旬頃に春肥を行います。

春は気温が上がり花芽が発芽するタイミングとなるため、アボカドは果房を生長させるために栄養素を多く使います。

果房に栄養素が集中し、葉や幹などの樹木全体に必要な栄養素が不足するのを防ぐため、肥料をたっぷり与えて補給してやる必要があります。

N-P-K 10-10-10などの複合化成肥料を1樹あたり300g(4年生)ほど与えるのが目安です。

樹齢が上がると少しずつ量も増やしていきます。


アボカド栽培の夏肥


6〜7月には夏肥を与えます。この季節は果実が大きく生長し、新梢も伸びる時期で栄養分を多く使用する時期です(4年生で300gほど)。

新梢は早めに摘芯して、生理落果を防止するとともに、即効性のある液体肥料の葉面散布を頻繁に行いましょう。

葉面散布は早朝か夕方に行うようにします。6~7月の新梢の新長期には10日間隔で数回行うと効果的です。


アボカド栽培の秋肥


10月頃に秋肥を行います。秋肥は翌年の開花や結実を促すための肥料で、木に栄養分を蓄積する役割を果たします。

春肥より少し多め、N-P-K 10-10-10などの複合化成肥料を1樹あたり400g(4年生)ほど与えるのが目安です。

アボカドの基本的な栽培方法はこちらをご覧ください
アボカドはどのように栽培すればいい?注意点などアドバイスをいただきたいです



翌年の栽培に備えた土づくり


可能であれば冬までに有機物資材でマルチングしてあげると良いでしょう。

アボカドは年に1回から2回落葉し、その落ち葉が良い堆肥となります。

ですので、必要不可欠ではないのですが、日本での寒い冬に根が凍ることなく元気に越冬出来るよう、有機物資材でのマルチングをおすすめします。

土づくりを行いつつ、土壌環境を整えることが出来て一石二鳥です。

あわせてpHも確認し、必要があれば石灰などのアルカリ資材を与えて調整しておきます。


肥料の与え方を知って、アボカド栽培の理解を深めよう


アボカドは着果率が低く、隔年結果を起こす特性を持つため、安定した収穫を目指すには施肥をこまめに行う必要がある植物です。

植え付けを行う前に元肥を与え、植え付け後は樹齢に応じて季節ごとに年3~5回程度の施肥を行います。

特に夏肥は液体肥料をこまめに散布することで生理落果を防ぐことができます。

収穫後は有機物資材でのマルチングで土づくりと寒さ対策をおすすめします。

アボカドの肥料の与えるタイミングやその意味(何故施肥するのか)を知ることでアボカドを元気に育てることができます。

皆さんも是非アボカド栽培の沼にはまってみてください。

栽培に適した圃場(土壌、立地)の条件についてはこちらをご覧ください
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このお悩みの監修者

橋本純子

株式会社アンファーム 栽培担当

前職で仕事に役立てるためにAICに通ったことがきっかけで就農を志す。研修先の香 川県三豊市でアンファーム社長、安藤数義氏と出会い2016年株式会社「アンファー ム」に入社。アボカド産地化に日々奮闘中。アボカドの栽培を通じて地域と農業の魅力発信を行っている。

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