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転作して、新しくサツマイモを栽培しようと考えています。そのためにもまずは土づくりから行わなければなりません。
サツマイモを育てるために、土壌のphはどれくらいにすれば良いのか悩んでいるのですが、周りの農家さんに聞いてみても、それぞれ言うことが違うので、どうすればいいか悩んでいます。
具体的にphはいくつで栽培するべきか、どんな用土や肥料を配合したら良いのか教えていただけないでしょうか。
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山川 理
山川アグリコンサルツ代表、農学博士
サツマイモの土壌は、ph5.5〜6.5に設定して栽培しましょう
サツマイモはph5.5〜6.5の土壌で栽培する
サツマイモは、酸性土壌に強い野菜であり、ph5.5〜6.5の土壌が最適とされています。
数値が7に近くなるとイモの味や色が悪くなり品質が劣化します。
また、比較的やせた土でも排水の良いところを好むので、粘土割合が12.5％未満の「砂壌土」を選んで栽培しましょう。
粘土質で排水不良のところは、緑肥や燻炭、山砂などを与えるなどの工夫をしながら、排水を良くするための土質改良法を探してみるのがいいでしょう。
さらに、サツマイモは通気性が整った「団粒構造」の土質で栽培するのが最適です。
団粒構造とは、細かい土の粒子が集まってできた空間の多い土壌で、微生物が多く住みつく有機物に富んだ特徴があります。
phはもちろん、EC（電気伝導度）を測定したうえで、診断結果をもとにした適切な肥料・資材の散布が理想的です。
サツマイモ栽培でphを測定する方法
サツマイモをはじめとする、作物を栽培する土壌のphを測定するには「土壌酸度計（phメーター）」を使用するのが一般的です。
土に差し込むだけの簡単な計測器もあるので活用して下さい。
土壌酸度計を使用しない測定方法としては、ホウレンソウの試験栽培があります。
ホウレンソウは中性土壌を好む特徴があるため、うまく育つ場合「中性に近い土」と判断することができますが、ネコブセンチュウなどの病気に弱いことで生育不良となる場合があるので注意が必要です。
土と5倍量の水道水を混ぜ、リトマス紙の呈色で判定する簡便法もあります。
サツマイモ栽培は苦土石灰を散布し過ぎない
苦土石灰とは、硫酸マグネシウムと炭酸カルシウムを配合した肥料であり、主に「pHの中和」と「カルシウム強化」を目的に加えられます。
サツマイモ栽培においては、苦土石灰を散布しすぎないことが重要です。
なぜなら、痩せた土地でも栽培できる作物で、肥料が多すぎると収穫量が落ちるからです。
サツマイモはカルシウムをほとんど要求しないため、苦土石灰を散布する目的は、中和に限定されます。
土壌酸度がph5.5〜6.5に設定されている場合は、苦土石灰を散布する必要がないと考えてください。
石灰資材の過剰投入についてはこちらをご覧ください
「サツマイモ栽培の土作りに石灰はいらない？」
中性に傾いた土壌がサツマイモに与える影響
サツマイモを中性側に傾いた土壌で栽培すると、放線菌が活発になり「立枯病」を発症してしまいます。
立枯病とは、葉が紫紅色に変色したのち、次第に枯死する病害です。ツルの生育が悪くなり、地下部のイモには黒色で円形の病斑が現れます。
立枯病は他の株への感染を防ぐため、早期発見が望ましい病害です。被害にあったサツマイモは、根の周辺にある土と一緒に焼却しましょう。
枯れた葉や根なども集めて処分し、使用した用具は必ず消毒してから使用してください。
栽培方法についてはこちらをご覧ください
「サツマイモを栽培したい！生産方法や注意点を教えてください」
このお悩みの監修者
山川 理
山川アグリコンサルツ代表、農学博士
京都大学農学部卒、農学博士。農林省九州農業試験場では、サツマイモやイチゴの新品種を多数育成。1996年日本育種学会賞。1998年農林水産大臣賞。山川アグリコンサルツ代表として、食品関連企業の顧問や地域の活性化アドバイザーとして活躍。千葉大学園芸学部非常勤講師。『サツマイモの世界 世界のサツマイモ: 新たな食文化のはじまり』など著書多数。