サツマイモの栽培をはじめたばかりの農家です。
自分なりに試行錯誤しながら育てていますが、まだ収量が上がらず、品質もイマイチです。
先輩に相談したところ、マルチの導入をすすめられましたが、いまいち効果がわからず、躊躇しています。
サツマイモ栽培でのマルチ導入の効果やメリットなどを詳しく知りたいです。
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山川 理
山川アグリコンサルツ代表、農学博士
マルチ導入の最大のメリットは生育の促進と除草作業の効率化です
マルチを導入するとなぜ作業が効率化するのか
サツマイモ栽培でマルチを導入すると、塊根(根が肥大したもの)の肥大や雑草の防除作業の簡略化などが期待できます。
フイルムの中央部にスリットが入れられているマルチを使うと、植え付けしやすく、土壌の温度や水分を適度に保ってくれるので、活着を促進させます。
また、着色マルチでは除草作業の手間も不要になり、つる返しや土寄せの必要もなくなるため、省力化できます。
つる返しについての詳細はこちらをご覧ください
「サツマイモの栽培をしていますが「つる返し」のコツを教えてください」
マルチの張り方
マルチを張る場合、畝(うね)を高さ20〜30cmほど、幅80〜90cmほどにつくります。
隣の畝の山頂から紐を張り、それに沿って土寄せをします。
そして、土で仮押さえしながらマルチを張ります。シワがよってしまうと効果が落ちてしまうので、伸ばしながら張りましょう。
最後まで張ったら、土寄せをして終了です。
トラクターを使用して、畝立てとマルチ張りを同時に作業することが一般的ですが、畝が小さくなりやすいことが欠点です。
マルチの張り方を動画で知りたい方はこちら。
黒マルチを使用する
マルチには透明やシルバーなど、さまざまな色がありますが、サツマイモ栽培の場合は黒マルチを使用します。
透明のマルチは地温を高めてくれますが、透明なために雑草が育ちやすくなります。
シルバーのマルチは反射効果が強いので防虫効果が期待できますが、地温が上昇しにくく、また価格も高くなります。
黒マルチは、5月ごろの低温環境での地温上昇効果があり、活着や生育を早めます。さらに、雑草の抑制にも効果があります。
そのため、サツマイモの栽培には価格の安い黒マルチを使用しましょう。
マルチを使用した場合には生育が半月くらい早まるので、イモが大きくなり過ぎないように注意が必要です。
トンネル栽培とマルチで地温の上昇・確保に努めることも可能です
「サツマイモをトンネル栽培で育てる方法について知りたい」
このお悩みの監修者
山川 理
山川アグリコンサルツ代表、農学博士
京都大学農学部卒、農学博士。農林省九州農業試験場では、サツマイモやイチゴの新品種を多数育成。1996年日本育種学会賞。1998年農林水産大臣賞。山川アグリコンサルツ代表として、食品関連企業の顧問や地域の活性化アドバイザーとして活躍。千葉大学園芸学部非常勤講師。『サツマイモの世界 世界のサツマイモ: 新たな食文化のはじまり』など著書多数。