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知床の定置網漁業について情報を集めています

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知床の定置網漁業について情報を集めています

地方の水産会社に勤め、これまで養殖業に関わってきましたが、移住も兼ねて定置網漁船に乗ろうかと考えています。

定置網をやるのであれば、自然が豊かで、たくさんの魚が漁獲できる北海道に行きたいと思い、いろいろと情報を集めています。

その中でも世界遺産がある知床に興味を持っているのですが、知床ではどれくらいの規模で定置網が行われていて、どんな魚を漁獲しているのか、なかなか情報が見つけられません。

また、知床の定置網漁業や注意すべき点などがあれば教えてください。

石戸谷 博範

海と定置網の研究室

知床の定置網ではサケやマスが獲れ、自然と共生した漁業が行われています

知床の海域の特徴


知床は、北海道の北東の端に位置したオホーツク海域に突出している半島です。

知床半島の西側が斜里郡斜里町で、半島の東側が目梨郡羅臼町となっています。

2005年に世界自然遺産に登録されていて、観光地としても有名です。

西側がオホーツク海域、東側が根室海峡に面しており、冬になると流氷が接岸します。

流氷によって運ばれてくる栄養分が豊かな海洋生態系を育み、日本で有数の漁場として知られています。

定置網漁業を中心とした沿岸漁業が盛んに行われていて、定置網漁業によるサケやマス漁が特に有名です。


知床の漁港


斜里町には、
・ウトロ漁港
・知布泊(ちっぷどまり)漁港
・斜里漁港

の3つの漁港があります。

各漁港では、サケやマスの定置網漁を主体とした、沿岸漁業が盛んに行われています。

羅臼町には7つの漁港があり、
・相泊(あいどまり)漁港
・知円別(ちえんべつ)漁港
・オッカバケ漁港
・羅臼漁港
・松法(まつのり)漁港
・於尋麻布(おたずねまっぷ)漁港
・峯浜漁港

があります。

羅臼町では、サケやマスの定置網漁をはじめ、スケトウダラ、ホッケなどの底刺し網漁業や、底はえ縄漁業、イカ釣り漁業などのさまざまな漁業が行われています。

羅臼漁港は、船着場から市場まで海洋深層水が引かれており、鮮度管理を徹底して行っているのが特徴です。

ホッケの定置網漁についてはこちらをご覧ください
ホッケを定置網で漁獲したい!どんな場所で獲れるの?



知床の漁協


斜里町にはJFウトロ漁協と斜里第一漁協があり、羅臼町には羅臼漁協があります。

JFウトロ漁協は昭和24年に、ウトロ漁港を管轄する漁協として、知床開発ウトロ漁協の名称で設立されました。昭和33年に現在のウトロ漁協に名称が変更され、地域の漁業の振興や漁師の経済的地位の向上などを目指しています。

斜里第一漁協は、知布泊(ちっぷどまり)漁港、斜里漁港を管轄し、秋に地元農協と協力して行う感謝祭で、名産品の販売会を行っています。

羅臼漁協は、羅臼町にあるすべての漁港を管轄する漁協として昭和24年に設立されました。

獲る漁業から育てる漁業へ転換し、昆布やウニなどの漁業にも力をいれています。

地域

漁港

漁協

斜里町

ウトロ漁港

JFウトロ漁協

斜里町

知布泊(ちっぷどまり)漁港

斜里第一漁協

斜里町

斜里漁港

斜里第一漁協

羅臼町

相泊(あいどまり)漁港

羅臼漁協

羅臼町

知円別(ちえんべつ)漁港

羅臼漁協

羅臼町

オッカバケ漁港

羅臼漁協

羅臼町

羅臼漁港

羅臼漁協

羅臼町

松法(まつのり)漁港

羅臼漁協

羅臼町

於尋麻布(おたずねまっぷ)漁港

羅臼漁協

羅臼町

峯浜漁港

羅臼漁協


知床では海洋生態系の保全のために、岸から3km以内の遺産地域内海域内では、サケやマスなどの漁が規制されています。

平成19 年に「知床世界自然遺産地域多利用型統合的海域管理計画」が策定されたため、知床の漁師は、環境保全をしつつ、漁業を行う必要があります。


知床の定置網漁業の特徴


サケやマスが獲れる


知床の定置網漁業で獲れる魚はサケやマスが中心で、水産統計によると、斜里町では水揚げ量が7,520トン、金額が5,365,937千円となっています。

漁獲量の7割以上をサケとマスが占め、特にサケの漁獲量は2019年時点で16年連続日本一です。

一方、羅臼町では、水揚げ量が24,326トン、金額が7,070,722千円です。

30以上もの定置網が設置され、スケトウダラ、タラ、マス漁が盛んに行われています。

近年では、サケやマスの資源の減少が問題となっており、漁協や町が協力して、稚魚のふ化放流事業に注力しています。

特に斜里町ではサケやマスの自然産卵にも目を向けており、川に遡上して自然産卵できるように、漁師自ら魚道のメンテナンスなど川の環境整備も行っています。

トドやアザラシなどの野生生物によって、漁獲物を奪われ、網を破られるなどの被害も発生している知床ならではの問題点もあり、自然との共存が課題の一つです。

サケの定置網漁についてはこちらをご覧ください
アキアジ(サケ)の定置網漁はどこで行われていますか?



海が荒れやすいため注意が必要


知床の海は荒れやすくて有名です。

知床半島は先端へ行くほど急峻で、海流や風の影響で海が荒れやすくなり、岩礁も多く存在するため、優れた操船技術が必要となります。

このお悩みの監修者

石戸谷 博範

海と定置網の研究室

定置網漁業学の専門家。2009年水産海洋学会より「相模湾における急潮と定置網漁業防災対策に関する研究」で宇田賞を授与。定置網漁業に関する国、地方、業界の各委員を務め、日本沿岸各地の地域活性化に取り組んでいる。博士(東京大学農学)。

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