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使っていないハウスがあるので、菌床しいたけを栽培しようかと検討しています。
原木栽培なら近くで行っている農家がいますが、菌床しいたけをしている農家がいないので、直売所で売れやすいのではないかと考えました。
しかし、しいたけの栽培はやったことがないので不安です。
ハウスで栽培すると、どんなメリットがあるのでしょうか？また、ハウス栽培のデメリットや注意点について教えてほしいです。
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大賀祥治
九州大学 名誉教授、中国吉林農業大学 教授
菌床しいたけをハウス栽培することで、温度管理ができ、年間を通して安定した収穫量が期待できます
菌床によるしいたけのハウス栽培
しいたけ栽培は専用の施設ではなく、ハウスを活用して栽培する農家さんもいます。
ハウスを使った栽培は、ほだ木にしいたけの種駒を打ち付ける原木栽培ではなく、菌床栽培で行います。
菌床栽培は屋内で行うため、ビニールハウスや簡易型ハウスを活用することが可能です。
しいたけのハウス栽培のメリット
菌床しいたけは、ハウス栽培をすることで以下のようなメリットがあります。
・温度管理がしやすい
・換気がしやすい
温度管理がしやすい
しいたけの菌床栽培では、温度管理が重要です。
そのため、ハウスの空調機器を利用することで、温度管理がしやすいというメリットがあります。
菌床しいたけは、それぞれの栽培工程によって目安となる温度が異なります。
菌床しいたけの栽培方法はこちらも併せてご覧ください
「しいたけの菌床栽培を始めたい！収入につながるまでどれくらいの期間がかかりますか？」
「菌床しいたけの栽培方法を教えてほしい」
通常、屋内での菌床栽培では、工程ごとに部屋を分けて管理するため、大規模な施設で栽培している生産者が多くいます。
しかし、ハウス栽培では、複数の棟で工程ごとの温度を調節しながら栽培ができるので、1年を通して安定した収穫量が確保しやすいです。
換気がしやすい
菌床栽培では、カビの発生でしいたけそのものをダメにしてしまう可能性があります。
1つの菌床に発生したカビは、連鎖的に増殖してしまうケースが多く、経済的損失が大きくなります。
しかし、ハウス栽培では、ハウスの両脇のシートを開けて外の空気を取り入れることが可能なので換気ができます。
湿度が高いとカビの発生確率も高まりますが、換気をすることで空気中に舞ったカビの胞子を外へ出すことが可能です。
また、ハウス内の湿度を下げる点もカビ対策につながります。
冬季の原木栽培の方法についてはこちらをご覧ください
「しいたけの原木栽培で、冬に低中温菌を発生させる方法は？」
しいたけをハウス栽培する際の注意点
菌床しいたけのハウス栽培は、メリットだけでなく次のようなでデメリットもあるので注意しましょう。
・無菌状態を確保しにくい
・虫が発生しやすい
ハウス栽培では、屋内の専用施設のような無菌状態は確保しにくいです。
そのため、菌床の仕込みや接種にかけて雑菌の混入を防ぐ必要があります。
菌床栽培は清潔な無菌室で行うのが一般的ですが、ハウス栽培では人の頻繁な出入りなどで、雑菌を運んでしまう可能性があるので注意しなくてはいけません。
また、雑菌だけでなくナメクジのような食害昆虫の発生にも注意が必要です。
ナメクジは原木栽培での被害が多い害虫ですが、ハウス栽培の場合でも小さな隙間から侵入を許してしまうケースがあります。
しいたけ栽培時のナメクジ対策についてはこちらをご覧ください
「しいたけ栽培を行っていますが、ナメクジが発生して困っています」
このお悩みの監修者
大賀祥治
九州大学 名誉教授、中国吉林農業大学 教授
農学博士。専門は、きのこ学、森林資源学。とくに食用・薬用キノコの生理特性や生産技術、森林の木材腐朽菌および菌根菌を研究し、九州大学発ベンチャー企業「株式会社マッシュピア」「ヒマラヤンバイオ・ジャパン株式会社」の各々会長、代表も務めている。