宮崎県でしいたけ農家を営んでいます。
原木栽培ではなく中国から菌床を輸入して栽培していますが、菌床が年々値上がりしています。
また、菌床だけではなく、空調に使う電気代やビニールなど(ガゼット式耐熱袋)の石油製品も値上がりしている状況です。
しいたけの出荷価格はそこまで変動していないものの、経費が高くなっているので、利益が減少してきました。
数を生産できるようになれば利益も回復させられるのですが、夫婦二人で経営しているので、限界があります。
電気料金は下げようがないと思うので、耐熱袋や菌床の仕入れ値を抑える方法はないでしょうか?
(宮崎県・川崎義久さん/仮名・60代)
佐々木 昇
有限会社アグリプラン代表取締役
経費削減ではなく、商品の付加価値を上げる事が得策ではないでしょうか
うちの場合は菌床をバイオセンターでつくっていますが、ここ2年で菌床の原材料であるおが粉などの値段が10%は上がっています。
生産費は上がっているのに値段が下がっているという悪循環に陥っています。
そこで私が取り組んでいるのは、しいたけに付加価値をつけて良いものをつくり、市場に認めてもらうことです。
また、直販も始めました。大手量販店などに営業をかけて良いものだと認められて直接取引をしています。
材料等の仕入れについては、卸屋やメーカーとの付き合いが長いので、まとめて量を仕入れることで価格を安くしてもらっています。
生産者さんもそうしたつながりと、「量」を仕入れることでいくらかコストダウンできるかもしれません。
大事なのは、そうした業者としっかりとした信頼関係を築き上げていくことですね。
それでもメーカーが値上げした場合はコストが高くなります。これは避けられません。
そこでおすすめしたいのが、先ほどお伝えした、しいたけの値段を上げることです。
逆転の発想で、「何かを下げる」ではなく、「しいたけの値段を上げる」。これしか生き残る方法はないと思っています。
また、相談者さんは「空調費は下がらない」と諦めているようですが、断熱を良くするなど外気の影響を受けないようにして環境を整えれば(設備投資すれば)コストダウンは可能です。
設備を購入したりしてランニングコストはかかりますが、5~10年で元はとれます。
原油代高騰も今後さらに経営を圧迫してきますので、「今」だけを見るのではなく、長い目で考えてみてください。
重ね重ねになりますが、電気や灯油、人件費、仕入れ費などは下げようがないし上がる一方です。そこを削減するのはなかなか難しい。それならしいたけの価値を高めた方が得策です。