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白菜が上手に結球しない理由は?失敗しないためのポイントを教えて

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白菜が上手に結球しない理由は?失敗しないためのポイントを教えて

昨年から白菜の栽培に挑戦しています。出荷できる品質まで作れる自信がないので、いまは試験的に栽培していますが、初年度の白菜は結球しませんでした。

いまのうちに結球しなかった原因を解明したいのですが、誰にも教わらずに栽培をはじめたので、要因がわかりません。

上手に結球させるためにはどの時期にどんな作業が必要なのかや、作業をする際に気をつけるポイントなど、アドバイスがいただきたいです。

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

白菜を結球させるのに重要なポイントは「種まき時期」と「外葉」です

白菜の結球とは


白菜は一般的に1玉あたり80~100枚、小型品種の場合は40~50枚の葉で構成されています。

野菜の葉が何枚も重なって球状になることを「結球する」といい、その部分を「結球」と呼びます。

白菜のほか、キャベツや玉レタスも結球する野菜の一種です。

種まき時期が結球の出来を左右する


白菜の栽培スケジュールには「春まき」と「秋まき」の2種類があります。

春まきは温度管理が難しいため、初心者農家には秋まきがおすすめです。

早生(わせ=早く出来る)や晩生(おくて=ゆっくり生長する)など品種により異なりますが、秋に種まきをすると、栽培日数60~120日前後で収穫できます。

8月~9月が種まき、10月下旬~1月頃が収穫というスケジュールです。

種まきに適した時期は短いので、注意が必要です。晩夏から初秋にかけてはまだまだ気温が高い日があるため、病害虫の被害にも遭いやすくなります。

苗の段階で病害虫が発生してしまうと、農家にとっては大きなダメージとなります。

ところが害虫被害を避けて種まきを遅くしすぎると、今度は結球するのに最適な気温の時期を逃すことになります。「結球が始まる時期に気温が下がりすぎないこと」を意識して、種まき時期を決めましょう。


外葉を大きく育てることがきれいな結球につながる


白菜をきれいに結球させるもう1つのポイントは「外葉を大きく成長させること」です。

白菜は外葉が緑色、結球の内部へいくほど黄白色です。植物は必要な栄養素を光合成によって作り出しますが、結球部分には実は葉緑体がありません。

白菜は結球に必要な栄養素を、外葉の光合成によって調達しているのです。

したがって十分な追肥や水やりをして、外葉を大きく育てれば育てるほど、結球にも多くの栄養分が行き渡ります。

外葉の手入れ方法はこちらをご覧ください
大きくきれいな白菜を作るための外葉の手入れとポイントは?



上手に結球しない場合のチェックポイント


もし白菜が上手に結球しない時はどういう点を見直すべきか、チェックポイントを3つ紹介しましょう。

1、種まき時期を誤っていないか


種まきのタイミングには注意が必要です。

結球を始める成長段階で気温が日平均気温で15℃よりも低くなってしまうと、白菜は結球できません。

種まきから40~45日後、外葉が15~20枚程度になった頃、後に結球になる中心部の葉が立ち始めます。

この時に畑の気温が15度前後である必要があります。

もし種まきが遅れ、結球の時期に寒くなりすぎると予想される場合は、できるだけ早い段階で苗にトンネル掛けをするなどで温度調整し、成長スピードを早めてみましょう。

土壌作りやトンネル栽培に関してはこちらをご覧ください
白菜栽培に適した土壌のphを教えてください
白菜のトンネル栽培はどのようなメリットがあるのかを知りたい



2、肥料が不足していなかったか


結球の出来に大きく関わるのが外葉の成長です。外葉がよく育っていなければ、結球に運ばれる養分が不十分となります。

特に2回目の追肥は結球が始まる時期に重なりますので、時期を逃さないように作業計画を立ててください。

追肥の時期が遅過ぎたり量を与えすぎたりしても、うまく結球しない原因につながります。適切な時期に正しい量の施肥を心がけてください。


3、病害虫の被害が発生していないか


病害虫の影響で生育不良が発生している場合は、当然結球も上手くできません。

特に「シンクイムシ」とも呼ばれる「ハイマダラノメイガ」には注意が必要です。アブラナ科の作物を好み、葉だけでなく中心部まで侵入して大きな被害をもたらします。

「ハイマダラノメイガ」は若い葉を好みますので、植え付けと同時に防虫ネットや寒冷紗(かんれいしゃ=遮光や防寒効果のある化学繊維(または綿や麻)の布)を掛け、株に虫が付かないように保護しましょう。

注意すべき病害虫と対策についてはこちらをご覧ください
白菜の栽培では、どのような病気に気をつけるべき?
白菜の主な害虫の種類と対策方法は?



白菜を上手に結球させるための外葉の手入れ方法


きれいに結球した白菜を収穫するための、外葉の手入れ方法について紹介します。

しっかり追肥する


追肥は収穫までに合計2~3回行いましょう。

最初は畑の定植(=苗を土壌に植え付けること)の2~3週間後です。2回目以降は「約2週間に1回」という間隔を目安にしてください。

1㎡あたり50gの化成肥料を、株元だけに偏らないように株の周囲に与えます。

初回の追肥の後に中耕(ちゅうこう=株や畝の間を軽く耕すこと)を行うのも有効です。土壌がふかふかになり、白菜がよく育ちます。


不要な外葉は取り除く


外葉の大きさが大きいほど、結球にもたくさんの栄養分が運ばれます。株間が狭く、日当たりが悪くなっている場所がないかチェックし、光合成の邪魔になるような外葉があれば、こまめに取り除きましょう。

植え付け時に株間を広めに設けるのも有効です。ただしその分植えられる苗の数が減るので、収穫したいサイズと個数を試算して、1玉あたりに必要なスペースを決めましょう。

結球を始める前には、外葉が地面を覆って見えなくなる程度が、高品質な白菜を作る目安です。

葉が巻かない場合や害虫対策についてはこちらをご覧ください
白菜を栽培していますが、葉が巻かない原因や対策方法を教えて
白菜を栽培していますが、アブラムシ対策の殺虫剤が効かなくなっています

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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