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白菜を栽培する際、白菜を縛るとどのような効果があるのでしょうか?

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白菜を栽培する際、白菜を縛るとどのような効果があるのでしょうか?

新規就農してまだ3年ですが、葉野菜を中心に栽培しています。今年から新しく白菜の栽培に挑戦しようと考え、情報収集を続けています。

これまで葉野菜を栽培してきたこともあり、基本的な栽培方法に関しては問題ないつもりでいるのですが、「白菜は縛って越冬すると甘くなる」というネットの情報を見て、驚きました。

白菜を縛るとどのような効果があるのか、また、縛る時期や縛り方についても教えてほしいです。

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

白菜は畑で縛ると甘くなる!畑で越冬させる方法と注意点

白菜を縛るとどうなる?縛ることのメリットとは


白菜農家は畑で白菜の外側の葉を中心部に巻きつけて、紐などで縛ることがあります。白菜を縛る作業を「頭縛り」や「はちまき」、「結束」とも呼びます。

畑で白菜を縛ることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

白菜の結球を霜害から守ることができる


白菜は、北・東ヨーロッパからトルコ高原にかけて自生している野生種から進化したもので、中国へは栽培植物として導入されたと思われます。日本でも、茨城県や長野県などで栽培が盛んな冬野菜です。

秋まきの栽培スケジュールでは11~12月頃が収穫時期ですが、12月に入ると中間地(温暖地)でも平均最低気温が4℃を下回る地域もあり、畑に霜が降りる日が増えてきます。

白菜は水分が豊富な野菜なので、寒くなりすぎると水分が凍り、枯れて(=霜枯れ)しまう原因になります。

そこで外側の葉で包むように縛り付けることで、中心部を保温します。


糖度がアップしておいしい白菜が収穫できる


白菜には寒さから身を守るため、デンプンを糖分に変える働きがあります。糖分が増えると氷点(=凍る温度)が下がり、凍りにくくなるためです。

したがって、畑に縛って置いておくと甘みがぐっと増すのです。


形がきれいに整う


食卓に並ぶ白菜は、1玉あたり合計80~100枚ほどの葉がついています。

甘みが強いという味の面ももちろん重要ですが、「葉がギュッと詰まって重なり、ずっしりと重みが感じられるかどうか」という形の面も、白菜の品質を決める大きなポイントです。

白菜を縛ると、形を良くすることにもつながります。包んだ外葉が中心部をガードするので、結球の葉の間に土やほこりなどが入ることもありません。


縛らないとどうなる?


成長した白菜は縛らなくても収穫は可能です。しかし縛るとそのまま畑に置いておけるため、長期間収穫できるというメリットがあります。

だいたい1~2月頃までは畑で保管でき、これを白菜の「冬越し」と呼びます。

ただし11月下旬から12月以降にかけてどんどん気温が低くなる時期に縛らずに置いておくと、白菜は霜害で傷み、枯れてしまうこともあります。

長く収穫しつづけるためには、縛る工程が必要と考えておきましょう。


白菜の縛り方


白菜を縛る方法について、時期や道具、手順などを説明します。

作業時期は11月下旬頃からが目安


白菜を縛る作業の開始時期は「11月下旬以降」が良いでしょう。

霜が降りる前が目安です。日本で初霜が観測される時期は、おおよそ寒冷地で10月、中間地で11月下旬~12月中旬です。

12月に入ると東京でも最低気温が1℃を下回る日もでてきます。地域にもよりますが、遅くとも12月上旬には着手しましょう。


白菜を縛るのに必要な道具


白菜を縛るのに必要な道具は、紐やテープなどとハサミがあれば十分です。寒い時期なので、手袋は必ず着用しましょう。

縛るには麻紐やビニールテープなどを使います。作業負荷を軽減するため、輪ゴムを使う農家もあります。

紐やテープの場合、1玉を結ぶのに必要な長さにあらかじめ切り分けておくと作業がしやすくなります。最初に1玉結んでみて、基準の長さを確認してから必要な量の紐を用意しておくと良いでしょう。


白菜を縛る手順


1、葉をまとめる

広がっている外葉を、中心部に寄せてまとめます。同時に葉の中に虫がいないかをチェックしておきましょう。除いておかないと、虫もそのまま白菜の中で冬越ししてしまいます。


2、紐やテープを巻きつける

巾着の要領で紐やテープをぐるりと巻きつけます。白菜全体の高さの中間~上部あたりでバランスのよい箇所を探ってください。だいたい均一な高さになるように、紐を1~2周させます。

3、結ぶ

巻きつけた紐やテープの両端を手で結びます。収穫時には何玉も連続でほどく作業が必要なので、「引き解け結び(=スリップノット)」にするなど、簡単にほどける結び方がおすすめです。


白菜を縛る際に気をつけたいポイント


白菜には縛って畑に置いておくのに向いている品種と、そうでない品種があります。

冬越しさせる場合は、耐寒性・貯蔵性の高い品種を選ぶとよいでしょう。

また極寒の時期に、畑でいくつもの白菜を連続して結ぶ・ほどくのは身体への負荷が大きい作業です。

葉をまとめる人と結ぶ人とで役割分担したり、畝(うね=作物を栽培するため土を細長く直線状に作った山)にある一列の白菜を1本の紐で連続して結ぶ方法などを取り入れ、作業の効率化を図っている農家もあります。

きれいな白菜を作る方法はこちらをご覧ください
大きくきれいな白菜を作るための外葉の手入れとポイントは?

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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