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白菜の栽培では、どのような病気に気をつけるべき?

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白菜の栽培では、どのような病気に気をつけるべき?

葉物野菜を中心に栽培している新米農家です。今年の冬から、新しく白菜を栽培しようかと考えています。

今年の夏は畑でネギを育てていたのですが、病気に罹ってしまい、期待したほど収穫できませんでした。

白菜でも同じ状況にならないかと不安なので、白菜が罹りやすい病気を教えていただけないでしょうか。

また、見つけ次第すぐに対処したいので、それぞれの初動や対策方法も教えていただけると助かります。

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

白菜栽培では、ウィルスやカビ、細菌性の病気に注意しましょう

白菜の病気


白菜の病気はさまざまなものがありますが、大まかに分けて次の3つに分類されます。

・ウィルス性
・カビ(糸状菌)
・細菌性


それぞれの病気で症状が異なるので、適切な対策をしていかなければいけません。

ウィルス性


以下は、白菜がかかるウィルス性の病気についてまとめた表です。

病名

症状

モザイク病

葉の一部あるいは株全体が萎縮し、葉の色が濃くなるとともに黄白色の紋入りができる

えそモザイク病

葉脈や葉柄の上に水浸状、茶〜黒褐色のえそ斑点ができ、葉脈の間には1〜3mmの黒褐色の斑点や輪紋が多数見られる


どちらも結球障害や生育遅延のもととなる病気です。

発病後は抵抗性が弱まり、連鎖的に軟腐病などの病気を発生しやすくなります。


カビ(糸状菌)


以下は、白菜がかかるカビ(糸状菌)の病気についてまとめた表です。

病名

症状

黒斑病

古い葉に2~10mm程度の淡黒褐色をした円形で同心円状の病斑を作る

白斑病

初め、灰白色の斑点が古い葉にできる。後々拡大して葉全体に斑点を付ける

尻腐病

地表に接した外葉の中肋(葉の中央部の太い葉脈)部に淡褐色の小斑点ができて、徐々に軟化し腐敗させる

菌核病

結球期に外葉の裏側や地面に接する部分に、淡褐色の病斑を形成、徐々に拡大して葉全体を軟化させる

ピシウム腐敗病  

地表と接した外葉の中肋基部裏側に、水浸状の部分ができる

べと病

葉脈に囲まれた部分に淡黄の斑点ができる

白さび病

葉の裏面に白色でまばらな小斑点を形成

根こぶ病

根にこぶを形成する。茎や葉の生育が衰え、晴天日には萎れる

黄化病

葉脈に沿ってV字型の黄白変がでる。晴天の日中に萎凋しつつ外反する

カビが原因の病気は、発病すると急速に畑全体の白菜へ蔓延していきます。

発病を確認できたら早急に病斑部を圃場の外に持ち出し、薬剤散布をしましょう。

発病株を放置しておくと、他の健全な白菜にもダメージを与えるので注意が必要です。


細菌性


以下は、白菜がかかる細菌性の病気についてまとめた表です。

病名

症状

軟腐病

地際に近い部分の葉に水浸状の斑点ができ、後に灰褐色になり軟化する

黒腐病

葉脈が黒く変色し、やがて枯死する

黒斑細菌病

初め水浸状、円形から不整円形、後に淡褐色から黒褐色でいびつな病斑を形成する


細菌性の病気は、弱った株に感染しやすい傾向にあります。

いずれの病気も最終的に白菜を枯死させてしまいます。


白菜が病気にかかる原因


白菜はさまざまな病気にかかる恐れがある作物ですが、発病の要因には次のようなものがあります。

1、肥料の過不足
2、連作障害
3、土壌の排水障害
4、病害虫による被害


1~3は栽培環境による発病要因です。

また、病害虫による発病のケースもありますが、葉を食べた食害痕からウィルス・細菌などを侵入させてしまう場合もあります。


白菜を病気から守るための方法


白菜を病気から守るには、次のような対策方法があります。

・土壌管理
・病害虫の防除



土壌管理


白菜は水はけの良い土地を好む作物です。

排水性の悪い多湿の土壌では、細菌が活発になりやすく病気を引き起こしてしまう可能性があります。

降雨の多い時期などは特に、畝の脇に水の流れる道を作るなどして排水性の良い土壌管理をしましょう。

また、肥料の過不足による病気の発生も考えられるので、適切な量の肥料を適切な時期に与えることが重要です。


病害虫の防除


白菜は、アブラムシ、ヨトウムシ、アオムシなどの被害を受けやすい作物です。

春から初夏、晩夏から秋にかけて大量発生する傾向にあります。

結球前の生育過程で発生すると、白菜を食べた痕から病気を引き起こしやすくなるので、防虫ネットをかけるなどの対策を行いましょう。また、薬剤防除作業なども有効です。

白菜によく付く虫と被害例についてはこちらをご覧ください
白菜の主な害虫の種類と対策方法は?



発病後にやるべきこと


白菜がかかる多くの病気は、1つの白菜だけでなく畑全体で蔓延してしまう傾向にあります。

また、病気にかかった白菜の抵抗性が弱くなり、他の進行スピードが速い病気を引き起こしてしまう恐れもあります。

そのため、いずれの病気であっても、発病が確認できたら発病株とその周りの株を抜いて圃場の外に持ち出し処分しましょう。

その後、薬剤防除を行い、病気を蔓延させないことが重要です。

薬剤防除に関しては、必ず白菜が登録されている農薬を使用するようにして下さい。

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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