舞茸を原木栽培する際のメリット・デメリットを知りたい

YUIME Japan編集部 / 2023.10.03

生産方法

#きのこ類 #林業 #舞茸

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舞茸を栽培してみたいと考えているのですが、原木か菌床のどちらで栽培するかで迷っています。

うちの圃場の近くに林家さんがいるので、原木は手に入りやすいのですが、収穫量を考えると設備投資をして菌床栽培に挑戦するのもアリかなと考えています。

どちらの栽培方法にするか決めるためにも、まずは原木栽培のメリット・デメリットを教えていただけないでしょうか。

費用対効果も考えて、どちらにするか決めようと思います。

大賀祥治

九州大学名誉教授、中国吉林農業大学教授

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舞茸の原木栽培は手間が少なく、ブランド化しやすいというメリットがあります

舞茸の原木栽培とは

舞茸栽培は原木と菌床での栽培の2種類あり、ほだ木を使って栽培する方法を原木栽培と言います。

原木栽培では、伐採した天然の木に種菌を植え付けて栽培を行います。

自然環境で舞茸を発生させる栽培方法で、露地栽培で行うのが一般的です。

具体的な栽培方法についてはこちらをご覧ください
「舞茸の栽培方法が知りたい。手順やスケジュールについて教えて」
「舞茸栽培に必要なほだ木となる原木の種類や管理方法を教えてほしい」

原木栽培のメリット・デメリット

舞茸の原木栽培を始める前には、まず原木栽培の特徴やメリット・デメリットを把握することが重要です。具体的なメリット・デメリットについて解説していきます。

原木栽培のメリット

原木栽培のメリットは以下の通りです。

・自然の環境に合わせるため温度管理の手間が少ない
・収穫時期が決まっているため、菌床舞茸に比べて希少

培養期間や埋め込みの時期は、28度以上の極端に暑い土地でなければ、自然での発生を待つため、温度管理の手間が少なくて済みます。

また、原木で育った舞茸を収穫できるのは1年のうち秋だけなので、菌床舞茸よりも希少です。

天然で育った舞茸は風味や食感が優れていることから、ブランド価値が高いことも特長となっています。

原木栽培のデメリット

原木栽培のデメリットは以下の通りです。

・秋にしか発生しないため、通年での収益が見込めない
・ほだ木の適切な管理が必要

原木栽培での舞茸は基本的に秋しか発生せず、1年を通して収穫できるものではありません。

菌床栽培では専用の施設で温度管理をしながら栽培できるので、季節に関係なく舞茸の収穫ができます。

秋に発生した舞茸での収益しか見込めないのは原木栽培のデメリットと言えるでしょう。

また、菌床栽培に比べると長い期間での栽培が必要となります。

具体的な栽培期間に関してはこちらをご覧ください
「舞茸の栽培期間を教えてほしいです」

菌床栽培に比べて温度管理の手間が少ないというメリットはありますが、原木となるほだ木は、伐採・玉切り、殺菌・放冷などのさまざまな工程を経て管理する必要があります。

舞茸の原木栽培が適した環境

舞茸の原木栽培では、培養後に土の中へ埋めて発生を待ちます。

埋め込みの際は、以下のような環境で栽培しましょう。

・水はけが良い
・充分な湿度がある
・直射日光が当たらない

充分な湿度は必要ですが、極度に湿度が高い粘土質は適していません。

また、乾燥しやすい砂地は避けるようにしましょう。

理想的な場所は、林の中などの湿度があり風通しの良い場所です。

極度に乾燥、または極端に湿度の高い場所では、うまく発生しない場合があるので注意しましょう。

原木栽培の注意点

舞茸の原木栽培では以下のような注意点があります。

・収穫時期が遅れると管孔(傘の裏側にある器官)に水が溜まって腐る
・降雨が少ない年では、自身で水やりを行う必要がある
・3～8月以外の時期に埋め込みをしても発生しない

舞茸は収穫時期が曖昧な作物です。

土に埋めた後、収穫時期が遅れてしまうと腐らせてしまうおそれがあります。

舞茸の傘が丸みを帯びた、また大きく育ったタイミングで早期に収穫しましょう。

また、舞茸は秋にしか発生しないので、埋め込みの時期が3～8月以外だと発生が見込めません。 (※気温の低い地域は7月くらいまで)

適切な埋め込みの時期を把握したうえで舞茸の原木栽培を行いましょう。