埼玉の山間地で立地を活かしつつ農業をやってきました。旬の野菜はもちろん、梅やたけのこ、わらび、柚子や柿など、年間を通じて四季の食べ物を収穫しています。
年齢的にだんだんと農作業も辛くなってきたタイミングでコロナが起き、息子夫婦が仕事を辞めて家業を手伝ってくれることになりました。
若い二人はアイデアと行動力が素晴らしく、息子の妻がミニバンで野菜を移動販売したいと言い出しました。
採れたての野菜を安く提供できるのはもちろん、農地を活用して里山体験の施設を作りたいと思っているらしく、その宣伝にもなりそうだと考えているようです。
そこで、野菜を移動販売をするために必要な資格や物を教えてほしいです。車は改造しなくても、スピーカーを付けるだけでいいのでしょうか?
また、届け出は必要でしょうか?始めるにあたって必要なことを教えてください。
(埼玉県・田中さん/仮名・60代)
蛇岩真一
株式会社AGRIER・中小企業診断士
移動販売は意外と簡単です。保健所へ「野菜果物販売業」の届出をしましょう
野菜の移動販売ですが、具体的な例をご紹介します。
2017年に静岡県で始まった地産地消の共同物流のコミュニティ「やさいバス」はご存知でしょうか。
農家さんと飲食店をつなぐ物流サービスでしたが、コロナ渦の影響で通常営業が難しくなり、週に何回か野菜の店頭販売を行ったケースがあります。
こういった移動販売に難しい条件などはありません。
管轄の保健所へ「野菜果物販売業」の届出が必要なだけです。届出の際に「食品衛生責任者」の資格が必要ですが、「食品衛生責任者」は1日程度の養成講習会で取得できます。
まずは最寄りの保健所に研修開催日を確認してください。
保健所の手続きが済んだら、あとは実際に車で移動販売するだけです。ミニバンでの移動販売については特段の規定がありません。
冷蔵するもの、してはいけないものなどをきちんと管理して、鮮度保持およびフードロス削減に気を付けると良いでしょう。
売上や利益にも直結しますし、お客様が意外と知らない保存方法(しょうがは冷やすと腐るなど)のお話をすると喜ばれるのではないでしょうか。
高齢化や郊外店の増加による買い物難民が増えていますので、移動販売は地域貢献にもつながる非常に良い取り組みだと思います。
応援しています。ぜひチャレンジしていただきたいです。