東京で、多くの作物を少しだけ生産する少量多品目栽培を行いながら、主に直売所へ出荷している者です。
現在は、注文が来ると自分でお店まで届けていますが、この流通方法を従来の流れから脱し、新たなアイデアが採用できないか悩んでいます。
日々の農作業をこなしながら、直売所との往復をしていると、時間が取られてしまい、効率が悪いです。
しかし、ネットショッピングの流行を背景に、物流のコスト上昇や人員不足が続いていると聞きます。
きっと野菜をネット販売しても、運送会社に支払うコストが高くついてしてしまうので、儲けは少なくなってしまうのではと危惧しています。
その中で、新たな取組みとして静岡県で「やさいバス」というサービスが始まったという情報を耳にしました。
農作物をネット出品し、注文が入ると自分の最寄りのバス停へ届ける。
すると、定期運行の路線バスが、購入した人の最寄りのバス停まで届けてくれるというものです。
農家にも購入者にもメリットがありそうだと思い、興味津々です。
その仕組みやメリットを教えてください。また、類似の流通サービスがあれば参考にしたいです。
(東京都・佐藤さん/仮名・40代)
蛇岩真一
株式会社AGRIER・中小企業診断士
物流コスト削減などのメリットあり!京都で新しい取り組みも行われています
「やさいバス」は、直売所や道の駅、青果店、卸売業者の倉庫などを「バス停」に設定し、冷蔵車が巡回する青果流通です。お客さんがアプリを通して注文すると、およそ1~2日でアプリから通知が来ます。
その後、指定した最寄りのバス停で農家さんが出荷した野菜が受け取れます。農家は15%の手数料を、購入者は350円の送料を負担することになります。品質の信頼を確保するため、出品できる農家は紹介制を採用しています。
もとは企業間取り引きのサービスとして開始したため、購入するのはスーパーや飲食店が中心ですが、最近はコロナの影響もあり一般の方も増えています。JAに出荷できないような少量多品目の野菜は新鮮で味もよいと好評いただいております。
2017年に静岡県から始まり、現在半径20kmを巡回する静岡県内の東西2ルート(1日2回運行)のほか、長野・茨城・神奈川・広島でサービスを開始し、他地域からも続々とお問い合わせをいただいているところです。運用には自治体・物流会社・農家・消費者が必要なため、地域に合わせて対応しています。
村山邦彦
伊賀ベジタブルファーム株式会社
京都オーガニックアクションという、共同運行便を走らせる取り組みがあります
「やさいバス」と同じような取り組みとしては「京都オーガニックアクション」があります。
マッチングプラットフォーム「farmO(ファーモ)」で行われた農家と販売店の取り引き情報を、みんなで共有することで、共同運航便(共同仕入便)を走らせるものです。
例えるならば、動く市場といったところでしょうか。一般向けのサービスというよりも、仕入れの共同化、効率化を図る目的から、どちらかというと組合のような形態で運営されています。