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間引きやかき芽をしたほうれん草、にんじん、キャベツなどの野菜を売りたい

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間引きやかき芽をしたほうれん草、にんじん、キャベツなどの野菜を売りたい

埼玉県内の都市部で、少量多品目栽培をしている野菜農家です。

うちでは就農した当初からJAや市場を通さず、主にレストランや直売所に出荷しています。

契約ごとに規格となる大きさを決めているので、その都度大きさを合わせているうちに、ほうれん草、にんじん、キャベツなど間引きや芽かきをしたものがたくさんでてしまい、もったいなく感じています。

そこで試しにこれらを売ってみようと、ひとまとめにしてお得な価格をつけて直売所に置いてみたのですが、案の定、売れ残ってしまいました。

間引きやかき芽をした野菜は見慣れない姿をしているので、消費者に受け入れられなかったのかもしれませんが、じつは味や香りが強いものも多くとても美味しいので、ぜひ多くの人に食べてほしいです。

また、どこかにこうした食材を求めている人もいるはずなので、ニーズがどこにあるか調べる方法はないでしょうか。
(埼玉県・越後さん/仮名・40代)

山下弘幸

株式会社農テラス代表取締役、農業経営戦略家

ターゲットを明確にして、インターネットで積極的に情報発信を

まず、少量多品目の野菜の販売方法は、市場出荷や卸販売ではなく直売が必須となります。

理由としては、市場出荷や卸販売ではロットがまとまらないことと、手間暇をかけて栽培している割には単価が低くなってしまい採算が合わなくなることが挙げられます。

ただし直売所(およびネット販売)ではその場で試食をしてもらうことができないため、出荷した野菜の良さはPOPや写真で訴求するしかありません。

ですからあらかじめターゲットを絞り込んでおき、その対象者に対して刺さりそうなネーミングを考えることがとても大事です。

需要がある層を知るにはネット販売が有効です。もちろん売れるのをただ待っているだけではなく、積極的に探していくべきでしょう。

手順としては、まず対象者(ターゲット)を明確にした上で、商品名、物語、世界観などを打ち出していきます。

ネットでの積極的な情報発信を通して、日本だけでなく世界中のどこかにいる「あなたの野菜のファン」に見つけてもらう努力をすることがとても大事だと思います。

また、間引きや芽かきをした野菜が売れ残った原因について「見慣れない姿をしているので受け入れられなかったのかもしれない」と推察していますが、ネーミングが問題だった可能性もあります。

珍しい野菜や通常サイズではない野菜に興味を持ってもらうためにも、ネーミングはとても大切です。

例えば「生ハムとルッコラのペペロンチーノ」というように、調理法と料理名を含めた商品名を付けて食べ方の提案をしてみてはいかがでしょうか。

こうすることで、間接的に珍しい野菜に対する関心を高めてもらうことができるはずです。

この場合、「クックパッド」などのレシピサイトを見ると、ネーミングのインスピレーションが得られるでしょう。

ピンポイントのターゲットに訴求する際にも、例えば「クックパッド」に「中学男子弁当 じゃがいもルッコラパスタ」というレシピが掲載されていましたが、これなら明らかに中学生の息子を持つ親がターゲットになりますよね。

商品名を考える際には、ここまでターゲットを絞り込んだ方が刺さりやすいですよ。

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武井敏信

タケイファーム

価値のわかる商品名を付けたり、研究をしたりすることも必要です

質問者は間引き菜を「ひとまとめにしてお得な価格をつけて販売」したということですが、私なら例え間引きしたものであっても、「お得な価格」では売りません。

考え方ですが、スナップエンドウを例に挙げますと、10月に種を蒔いて収穫できるのは4月の終わりですから、長い時間をかけて育てた(作地も長期間占有する)作物を安売りしていては割に合わないからです。

なお、うちの野菜は1個売りを基本としており、発芽して5センチほどの葉物を間引いて、1本に値段をつけて出荷しています。

とはいえ安売りはしませんので、問い合わせがきても、価格を下げてまで取引はしません。

直売所に並べるのであれば、パッケージの工夫も必要でしょう。

野菜は女性が購入することが多いので、男性が好むようなカッコいいデザインにするよりも、女性が好むようなセンスを取り入れる必要があると思います。

また、商品パッケージにシールを貼るとそちら側が表になりますので、野菜が一番きれいに見える面が表側になるように並べることで見栄えがよくなりますよ。

商品名も「間引き菜」では価値が感じられませんので、私たち「タケイファーム」では例えばニンジンなら「ニンジンミニ」として販売しています。

ただし、直売所を含めてあちこちの売り場に野菜を出してしまうと、ほかの生産者が作った野菜といっしょくたになってしまい差別化できなくなるため、ブランド力がつきません。

特に直売所では「安くて新鮮」をアピールポイントにしがちですが、それはどの生産者も同じですから勝負がつかず、結果的に売れ残ったりして利益も確保しにくいでしょう。

ちなみに私は未経験から農業をはじめましたが、老舗デパート「伊勢丹」のバイヤーから声がかかりました。

現在、うちではレストランへの販売を主としています。レストランにもいろいろなお店がありますが、大事に育てた野菜を高く買ってもらいたいなら、客単価が高いレストランを見極めて取引することをおすすめします。

そのためにも、コロナ禍以前は東京に出かけたら食事をするなどして、現場を知る努力をしていました。

そうすると「客単価2万円くらいの店ではレタスなんて使わないんだ」といったことがわかってくるわけです(使うとしたらソースですね)。

もちろん、間引き菜自体についても研究する必要があると思います。

私は新しい野菜の栽培にチャレンジするときには、収穫適期になっても1本だけ収穫をせず育て続けて、状態の変化とともに花や実などをよく観察します。

市場に出回っている野菜は人間の都合で収穫しますから、一般的には流通していない成長過程で食べてみると予想外に味が良かったりするのです。そういうものも商品になる可能性がありますよ。

また、農家は自分が手塩にかけて育てた野菜は美味しく感じるものですが、美味しさには定義がないため、食べる人を想定して野菜作りをすることになります。客観的に自分の野菜のクオリティーを知る機会を持つことも重要でしょう。

ほかにも、FacebookなどのSNSは商品(野菜)を美しく撮影して投稿して宣伝できるだけでなく、情報を得るのにも有効です。

シェフが参加するグループに参加すれば、レストラン業界の最新情報や料理人のニーズをつかめますよ。

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