長野県でいちご農家をしています。
これまでは、冬春に旬を迎える一般的な品種のいちごを作っていましたが「夏秋いちごは今でも輸入に頼っている」という現状を打破して「一年を通して国産のおいしいいちごを届けたい」という思いから、一昨年、夏秋いちごの栽培に着手しました。
最近やっと、少量ずつですが販売できる品質になってきました。
パッケージなども決まり、そろそろ販売先を選定していこうと思っています。
現在の卸先は地元の直販所とスーパーですが、夏秋品種は冬春品種よりも甘さが少なく「まだ消費者に馴染みがないため売れないかも」と懸念しています。
また一般的に夏秋に並ぶいちごは値段が高く、価格設定にも悩んでいます。
どの販路でどう売るのが最適でしょうか?
(長野県・加賀屋祥さん/仮名・30代)
仲野真人
株式会社食農夢創 代表取締役
人工光型植物工場に夏秋いちごの成功例あり!
質問者さんのおっしゃる通り、日本の夏秋いちごは輸入に頼っているのが現状です。しかしながら、国産いちごのニーズがあることもまた事実。需要があるのに供給できていないのが辛いところです。
そんな現状で何も手つかずの状態かというと、そんなことはありません。完全閉鎖型の人工光型植物工場で夏秋いちごの研究は進んでいます。
それも輸入のいちごではなく、消費者が求めている一般的な味のいちごです。工場内ではいちごの生育環境を細かく管理できるため、不揃いやロスを減らし、量産が可能になるというメリットがあります。
すでに販売が始まっていますが、夏に国産のいちごという需要にマッチし、主にパティシエから好評を得ています。
そこで改めて考えなければならないのが、「夏秋いちご」を「誰が」「どういう利用シーン」で求めているかという点を考える必要があります。
例えば冷凍でも対応できるのであれば、冬から春のいちごを冷凍して保管しておくことができます。そのため、「夏秋いちご」は夏~秋のシーズンに生のいちごが欲しいところにニーズがありそうですね。
また、それ以上に大事なことは、通年を通した「いちご」のブランディングになります。
年間を通して、「いちごと言えば〇〇さん」というブランディングをすることでできれば通年をとおしての取引も可能になります。
なので、「いちご」自体や「生産者」自身のブランディングも含めてトータルで考えてみてはいかがでしょうか?
販路についてですが、夏秋にいちごを求めるのはパティシエ、ケーキ屋さんが多いため、そこへ重点的に営業をかけるのが効率がいいと思います。
価格は、冬春よりも少し高めの設定でも大丈夫です。市場にそれほど出回っていないことや開発に時間をかけてきたことを考えると、妥当ではないでしょうか。営業する際はその点を強くPRしていけるといいですね。