野菜と果樹を栽培している農家です。収穫した作物は、組合の直売所と自宅直売所で販売しています。
自宅の直売所は基本的に無人販売ですが、梨やぶどうなど果樹の収穫期は店頭に立って販売を行うこともあります。
この期間は売上金額も高額になるので、とても気を使います。また、お客さんが現金を持っていなくて、そのまま帰ってしまうこともあります。
そこで、キャッシュレス決済に対応したいと考えています。クレジットカードや交通系の電子マネー、QRコード決済などいろいろな支払い方法があると思いますが、直売所で使うのに適しているキャッシュレス決済の種類を教えてください。
(東京都・大畑さん/仮名・50代)
山下弘幸
株式会社農テラス代表取締役、農業経営戦略家
使い慣れた決済アプリを導入し、料金箱と防犯カメラも設置しましょう
今や日本において、およそ5割の人がキャッシュレス決済をしたことがあるとのデータがあります。つまり半数の人はキャッシュレスを使っていないということも認識しておきましょう。
しかしキャッシュレス決済の導入は決して時期尚早ではありません。買い手には便利なので、確実に進めるべきと言えます。
ある程度の規模のお店では、すべての決済アプリに対応しているのが実情です。それでは個人店でどこまで対応するかについてですが、現在ご自身が利用している決済アプリで十分です。
ただし、そのアプリを使ってない人からすると、単なる不便なサービスにすぎません。つまりこちら側が良かれと思ってサービスしても、非対応のお客様にとっては不親切となります。
ところが今の時代は顧客も店舗に合わせる時代になりました。わがままな顧客の要望に対応する商売は、決して長続きするとはいえません。
ですから「この商品が欲しいならば、こちらの決済方法に合わせてください」というくらいのスタンスで商売しないと、たとえ無人販売でもうまくいかないでしょう。
結論としては、ご自身が一番使い慣れている決済アプリを導入し、それとともに現金料金箱と防犯カメラを設置するのがベストでしょう。あなたの農産物には価値があるのですから、誠実でない顧客に対応するよりも、それでもなお買いたいと思わせるための工夫に注力しましょう。