地元スーパーや直売所に出荷している野菜農家の3代目です。旬の野菜を年間50品目以上栽培しています。
野菜ソムリエの資格を取得して、調理法やレシピの提案も積極的に行ってきました。その甲斐あってか、最近は近隣の飲食店との直接取引も増えてきました。
あるとき店側から、うちで栽培している品目の一覧や旬が分かるように、リストを作って欲しいと要望をいただきました。
飲食店のコンセプトにあったシェフのこだわりや、メニューの差別化に活かしたいそうです。
栽培品目やそれぞれの旬は生産者目線でアドバイスできますが、どうまとめたらよいか悩んでいます。
紙に印刷したもののほかに、スマホやパソコンでチェックできた方が便利じゃないかとも思っています。どのようなリストを作れば良いでしょうか?
(神奈川県・須貝さん/仮名・50代)
仲野真人
株式会社食農夢創 代表取締役
シェフの欲しがる情報を整理・工夫して、無理なく作成してみましょう
生産者にとって当たり前のことでも、加工・流通側、また消費者にとっては未知の事象であることは珍しくありません。
特に農産物の旬などは、品目がありすぎて覚えるのもひと苦労です。
しかし、相談者さまが直面した課題のなかにもビジネスチャンスがあります。
栽培品目のリストやカレンダーは、あれば営業にも使えるのでぜひご検討いだきたいと思います。
ではどのように作るのが良いのか?
参考になりそうなカレンダーが、キッコーマンが掲載している「旬の食材カレンダー」になります。
縦軸に生産品目を列挙して、横軸には1月から12月まで月ごとのカレンダーにして、旬の時期を掲示するタイプが比較的多くみられます。
さらに、工夫をするのであれば、「根菜類」「果菜類」「葉物類」などに分類してカレンダーを作る、同じ品目でも品種ごとにカレンダーを作る、など工夫できるポイントはたくさんあります。
ただ、気を付けていただきたいのが、カレンダーにこだわって労力や時間をかけても、売上にすぐに直結するものではないので、最初からこだわり過ぎない方が良いと思います。
もしも、デザインが得意な人が家族や従業員のなかにいるのであれば、その人に作成を任せて、会社案内やホームページに掲載するところから始めても良いかもしれません。
カフェやレストランなど飲食店にターゲットを絞っている場合は、料理する人の立場になって考えてみると良いでしょう。
多くのシェフが、生産者がこだわって栽培している食材を仕入れたいと考えていますから、その人たちにアピールするためにも、「栽培方法」や「生産者の想い・こだわり」「保存方法」「美味しい食べ方」などの情報を盛り込むと良いかもしれません。
旬の時期以外にも、どんな情報を知りたいか取引先の方々に尋ねてみるのも手だと思います。
そのうえで、相談者さまならではの野菜カレンダーができれば、他の生産者との差別化にもつながると思います。