新潟県の佐渡島でサーモンの養殖をしている漁師です。「佐渡サーモン」の名前で各地に出荷し、多くの人に佐渡で育ったサーモンを美味しく食べてもらえるよう、大切に育てています。
しかし、大きな悩みを抱えています。佐渡市では水産業が主要な産業のひとつなのですが、市内に大規模な水産加工施設がないのです。いまある加工施設ではできることが限られており、「ラウンド」または「丸」と呼ばれる、調理をせず丸一匹のまま出荷することしかできません。
スーパーや量販店は、お店で加工する費用や手間を抑えるため、お刺身用などに加工されたものを入荷する傾向があります。そのため、内蔵を取り出したり、骨を取り除いてから出荷するには、大規模な加工施設がある新潟市内などの施設に依頼しなければなりません。
直接卸すことができないので、鮮度は落ちてしまいますし、輸送費などのコストが膨らむので、安い外国産のサーモンとの価格競争に負けてしまっているというのが状況です。今後に向けて、何か良い方法はないでしょうか?
(新潟県・岩井義男さん/仮名・50代)
NPO法人イドバタ
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輸送コストよりも高値で卸すことができる販路を見つけましょう
物理的な距離を変えることはできないので、佐渡島の島内で加工できる体制を整備するか、輸送コストよりも高い値段で売れる販路を見つけた方が良いかと思います。
しかし、島内で加工する体制を作るのには、加工場の確保や三枚卸機、内蔵取機などの機械を導入し、加工するための人材を確保するなど、多額の初期投資や労働力が必要になります。
一方で、販路の開拓については、新潟県内にこだわらず、東京の居酒屋やレストランに営業を行い、直接卸すことができれば、高価格で販売することができると思います。
最近ではJR東日本スタートアップ、JR東日本リテールネット、ジェイアール東日本物流、フーディソンの4社が合同で、佐渡両津港に水揚げされた甘エビを佐渡汽船のジェットフォイルで運び、そこから新幹線で東京に輸送する取り組みも行われているようですね。
まだ実証実験の段階で、輸送コストや人件費を考えると1000円前後、価格に上乗せしなければなりませんが、東京などの都会であれば、新鮮な魚介類を食べたいという消費者も多くいるはずです。
こういった取り組みにも、注目してみてはいかがでしょうか?