有機無農薬栽培で野菜と米を栽培し、直接お客さんに配達したり、スーパーの地元産農産物コーナーに契約出荷しています。
ときどき、スーパーのお客さんから理不尽だと感じるクレームが入ります。
基本的にはスーパーの仕入れ担当者が対応してくれますが、商品の返品交換や返金対応などをしてくれているようです。
それでも対処しきれなかった場合には、私に相談が来ます。
今年の春には、米袋に虫(コクゾウムシと思われる)が入っていたというクレームがきました。
出荷の際には念入りにチェックするので、そんなはずはないと思いつつ、急いで貯蔵している米を確認しましたが、虫は入っておらず、外から侵入もしていないようでした。
スーパーの担当者によると、クレームはお客さんが米を買ってから3カ月ほどして入ったそうなので、お客さんの保存の問題があったのだろうと思います。
しかし、担当者と相談して、交換のため新たなお米を1袋お渡しすることにしました。
そのお客さんはよくクレームを言うそうで、この対応でよかったのか、今でも腑に落ちません。
購入していただく立場なので、お客さんの気持ちに寄り添って対応しなければならないことはわかりますが、こうしたクレームにどう対応すべきなのか教えてください。
(埼玉県・中村勇一さん/仮名・30代)
脇坂真吏
AgriInnovation Design/東神楽大学学長
お客さまのご意見をとにかく聞いて、そのうえで適切なお米の管理方法をアドバイスしてはいかがでしょうか
おっしゃる通り、クレーム対応は難しいですよね。特に今回のように直接お客さまとやりとりをされたわけではなく、間に取引先が入っている場合はなおさら難しいかと思います。
ご相談の内容を見る限りでは、確かに購入されたお客さまの保管状態が悪かったことが原因なのではないかと思います。
だたし、取引先を介してそのように話を進めても、到底、お客さまの不満解消にはならないと思いますし、取引先も早めに事態を収拾させたいので、代替品を手配してくれとなることが多いかと思います。
腑に落ちないのはその通りで、こうした対応は何一つ事態が解決しないままに物事を処理をしているに等しいからです。
今回の場合の案件の場合、次のような対応ではいかがでしょうか。
ますお客さまの連絡先を取引先の担当者からお伺いし、直接連絡をしてみます。その際に注意すべきは次のことです。
1つめに、お客さまのご意見をとにかく聞いていく(溜飲を下げる)。2つめには、そのうえで適切なお米の管理方法をアドバイスする(寄り添う)。
このように、謝罪をするだけではなく、意見を聞いて相手が落ち着き、冷静になったところで、本来の管理方法などを説明する形が理想的だと思います。
さて、今回のようなケースを今後防いでいくためには、1つめに取引先との情報共有を行うこと、2つめには未然に防ぐ方法に着手することが大事になってきます。
まずは、取引先との情報共有ですが、どんなに気にしていても、さまざまなお客さまがいらっしゃいますので、時として不測の事態は生じてきます。
そのとき、今回のようなやりとりにならないように、事前に取引先とクレームが来た際の対応法などについて協議しておくとよいでしょう。
クレーム対応は疲れますから大変ではありますが、先に述べたように、連絡先を伺って直接連絡をとる方が対応しやすいと思います。
次に、未然に防ぐ方法に着手することですが、取引先との情報共有を踏まえたうえで、クレームを未然に防ぐための手立てを講じることが大事です。
今回のお米の案件でしたら、「●●度以下の涼しい場所で保管ください」などと、どんな状態での管理が適切なのかを表示しておくことです。
万が一、虫が湧いたというようなクレームが出たとしても、保管方法を表示していた旨を伝え、その通りの管理がされていたかどうかを確認することによって、その原因解明につながると思います。