広島県の中山間地域に住んでおり、農家を営みながら産直市の運営も担当しています。
国道沿いに産直市がオープンした時は、地元だけでなく、広島市や島根県からもお客さんが来てくれて、盛り上がりを見せていました。
しかし、近くに高速道路ができたことで、お客さんの入りが大幅に減少。苦戦を強いられています。
出荷して下さる農家さんからも「あんまり売れんねぇ…」とボヤかれ、心苦しい状態です。
農作物や惣菜が売れ残ってしまうので、農家さんたちの出荷量も減ってしまい、さらに売れにくくなるという悪循環が生じています。
また、コロナ禍の影響で、これまで出来ていたような産直まつりのようなイベントができず、にぎわい作りもうまくいっていません。
行政の支援を求めるにも限界があります。自分たちで情報発信や集客し「来てもらえる産直市」に変えていきたいのですが、どこから手をつければいいのかわかりません。
現在の状況で、産直市を知ってもらい、足を運んでもらえるようにするには、どのようなことから取り組んでいけばよいのでしょうか?
(広島県・篠田さん/仮名・50代)
脇坂真吏
AgriInnovation Design/東神楽大学学長
場を貸すだけの存在にならないよう、雰囲気づくりとお客様の気持ちを大切にしてみてください
私も産直市運営で過去に同じような経験があり、非常にお気持ちがわかります。売れないから出店者が少ない、少ないからお客さんが来ない、というループに陥っている状態ですね。
選択肢として、産直市を開催しないという選択肢もあるのかなとは思います。
ただ、気持ちとしては挽回したいという心境だと思いますので、
1、その場所で産直市を行う理由を明確にする。「その場所にどんな魅力があるのか」
2、その場所に来るお客様は何を求めているのか。お客様がどんな商品(品目、価格帯、鮮度、付加価値など)を求めて来る場所なのか
3、どれくらい出店者とお客様に寄り添って産直市を開催できているか
の3点をまず整理してはいかがでしょうか?
また、意外に思われるかもしれませんが、小手先の工夫より、産直市に漂う全体の雰囲気はとても重要です。私は多くのマルシェ(市場)、八百屋、小売店を展開していますが、出店者に書類審査と面接を行います。面接の時には販売したい商品を用意してもらい、必ず販売する店員にも同席してもらいます。
これは、場の雰囲気づくりと、市場に来るお客様が求めている商品を提供するためです。
お客様とも会話をしながらどんな商品を求めているのかを聞き出し、出店者とも「運営者と出店者」という立場を崩さない範囲で交流を図ることで、雰囲気を維持していきます。
こうした取り組みをしながら、時には春に「ストロベリーフェスティバル」や夏に「トウモロコシ&枝豆フェスティバル」などのイベントを行い、お客様に楽しんでもらう工夫をしています。
商品陳列や見せ方に工夫が必要だと思ったらお店にアドバイスしていますし、売れるための工夫も提案しています。産直市側として、場所を貸しただけの存在にならないようにするのが重要ですね。私のこれまでの経験は本にまとめていますので、参考までにご覧いただけると嬉しいです。