高知県でかぼちゃを栽培していて、道の駅や飲食店へ出荷しています。
以前、飲食店へ納品する際に、お店側から「こんなに安くていいの?」と驚かれたことがありました。
私が出荷している道の駅では、かぼちゃを出品する農家が多いため、値段も安くなりがちなので、私もやや低めに販売していました。
そのため、飲食店へ販売する際も、道の駅での販売価格を参考にしていたのですが、この言葉をきっかけに、改めて価格設定に悩むようになりました。
お店から「高すぎる」と思われてしまって契約を打ち切られるのも心配なので、値上げは慎重にしなければと思ってます。
道の駅と飲食店では需要も違うと思うので、どのように価格設定したら良いでしょうか?お考えをお聞かせください。
(高知県・小松美里さん/仮名・20代)
仲野真人
株式会社食農夢創 代表取締役
飲食店にヒアリングをして、お互いに納得のいく価格を決めましょう
価格設定はとても難しい課題ですよね。
今回の相談は、道の駅と飲食店向けの価格設定ということになりますが、これは市場出荷と直接取引の関係に似ています。
市場出荷は周知の生産者との兼ね合いがあるので、価格を自分だけの考えで決めることが難しいですが、直接取引は自分で値段を決めることができます。
道の駅や直売所は市場価格が暴落しているのに、高く売ると周囲から浮いてしまいますよね。
ただ、取引のある飲食店が地元だった場合、飲食店の方が道の駅に行くと質問者さまがいくらで売っているかがバレてしまうという点がネックになります。
安ければ嬉しいでしょうし、高ければ「我々には高く売りつけている!」と思われてしまうかもしれません(取引先が県外であれば、そのリスクは減ります)。
では、どうすればよいか? 対応は大きく分けて2つです。
1つ目は、現状のように道の駅や直売所と同じ価格付近で販売することです。
現状は手数料分やや低く販売しているとのことですが、自社で配達しているのであれば、配達コストもあるので逆にやや高くても良いかと思います。
2つ目は、飲食店向けには別価格で設定することです。
その代わり、なぜこの値段なのかをしっかり飲食店の方に理解してもらう必要があります。
例えば「飲食の業態に合わせた品種」「青果用ではなく料理しやすいように熟した状態で収穫している」「オーダーメイドで注文を受ける手間」などがあります。
飲食店にもよりますが、安さよりも良い品質のものを使いたいという飲食店も多いので、そういう取引先には上記のような理由をきちんと伝えて納得してもらえば高くても購入してもらえます。
取引の際の要因は大きく「量・質・価格・物流(送料)」の4つであり、値段が高すぎるかどうかは購入者次第ですので、まずは「このくらいの単価でどう?」とヒアリングしてみてはいかがでしょうか?