沖縄県のマンゴー農家です。
マンゴーハウスの脇で数年前から試験的にシークワーサーの栽培を始めました。
今年初めて収穫したのですが、大成功!味も良く、今後はマンゴーと同様、主戦力として活躍してくれそうです。
収穫時期が年に3回あるのも「優秀!」の一言。
しかし問題が。シークワーサーは収穫後「要冷蔵」にしなければいけません。
つまり、保管するために冷蔵倉庫が必要になります。
今はその日に収穫して即日出荷したいので、倉庫のことはまだ考えていません。
また、シークワサーを本土に送るためにはクール便を使う必要があります。
マンゴーは常温で送るので、シークワーサーと同梱もできず……。
今年は自宅での消費と、義妹夫婦が商売をしているので無料で提供していますが、今後、売り物として提供するにはどんな方法がありますか?
(沖繩県・太田さん/仮名・40代)
仲野真人
株式会社食農夢創 代表取締役
シークワーサーを「誰に売りたいか」で方向性が変わってきます
シークワーサーは沖縄ならではの品目であり、また健康にも良いというイメージなので付加価値もつけやすいかもしれませんね。
ただ、相談者さん同様「なんとなくつくってみたけど、どこで売ったらいいのか分からない」という生産者さんをたくさん見てみました。
厳しいことを言ってしまいますが、その多くが失敗しています。
「つくったら売れるんじゃないか」というのはまさに失敗の典型であり、商売人はそれじゃダメです。
商売人なら、まず「売る」を前提にして「つくる」のが鉄則です。
まず市場をリサーチして、「これなら売れる!」と確信を持ってから栽培するのが良い。順番が逆ですよね。
そこでアドバイスするとしたら、「誰に売りたいか?」を考えることです。
直接消費者に売りたいのか、加工業者に売りたいのか。まずターゲットを定めることで、今後の方向性が見えてきます。
一般的にシークワーサーは、そのまま青果で食べるという需要よりは、搾って果汁として、もしくはジュースやジャムなどの加工品としての需要が大きいイメージが強い気がします。
それを前提として相談者さんが青果として販売したいのであれば、ターゲットは加工メーカーもしくは飲食店。
つまり、BtoB(企業間の取り引き)がメインになるでしょう。
飲食店、特に有名シェフなどは有機にこだわる方も多いので、もし高付加価値で販売するのであれば、そういった栽培方法に切り替えてブランディングするというのもひとつの手です。
ただし、栽培方法の切り替えには時間もかかりますが…。
一方で、青果を個人向けに販売したい、となると、かなり販路は限られてくるかもしれません。
これは、シークワーサーを大量に消費する家庭を探す方が難しいからです。
インターネットで検索すると、家庭でできるシークワーサーのレシピもたくさん発見できますが、まだまだ「風味」か「加工」での需要が多いような気がします。
もし相談者さんがすぐに何か動きたいというのであれば、シークワーサーの生産者を訪ねてどんな売り方をしているのか取材してみるのも良いでしょう。
なお、ご参考まで。シークワーサーは必ずしも冷蔵で送る必要はないようです。常温で2週間くらいは問題なく、みかんやレモンと同じです。
そのため、常温で送るマンゴーとの混載も可能かもしれません! 来年のマンゴーを親しい方に送付するときに、実験してみてください。