四季を通じて、旬の野菜を中心に、少量多品種生産を行っています。
「農家さんは自然相手のスローライフでいいね」などと言われることがありますが、実際のところ忙しく働き続けてなんとか食べていけるといった感じです。
それでも、お客さんから直接お褒めの言葉をいただくと、やっていて良かったなという充実感はあります。
ただし、これから先も厳しい状況であることには変わりません。
そこで、少しでも収入増につながることをしたいと考えるようになりました。
今までと同じことをしていてもしょうがないので、新たな品種に挑戦して差別化を図る必要があるのではないかと。
それもひとりではなく、どうせやるなら地域を巻き込んで、一大産地化を目指せないものでしょうか。
京都では、競合の少ない「まくわうり」を生産し、特産品にすべく挑戦している農家さんがいるということにも刺激を受けました。
このように、群馬でも栽培できそうな、世間的にはマイナーな作物や今後需要が見込めそうな作物はありませんか?
(群馬県・橋本さん/仮名・50代)
龍 慶介
てしまの苗屋/てしま農園
焼肉店の増加を見込んでチマサンチュ、エゴマ、青しそがおすすめです!
消費者の需要をつかみ、売れる仕組みを作ることをマーケティングといいます。農業でも、マーケティングを行い、しっかり調査や分析をしたうえで仕事を進めることは有効です。
それは、農業など食に関するニーズは変化が激しいからです。かといって、流行の裏を狙いすぎても大失敗することも少なくありません。
となると、顧客ターゲットを明らかにして、栽培よりも営業に注力して開拓するイメージがいいでしょう。
このような考えから、個人的には「チマサンチュ」「エゴマ」「青しそ」などをおすすめします。
いま焼肉店にリニューアルする居酒屋が増えており、そこでの消費を見込んだラインアップです。
県北と県南で気候条件が大きく異なるような場合、栽培を工夫すれば通年・安定供給は十分できると思います。
このように、マーケティング感覚でトレンドを意識し、攻めの栽培をなさってはいかがでしょう。
仲野真人
株式会社食農夢創 代表取締役
料理のブームやトレンドを調べ、販売者視点で考えてみてはいかがでしょうか?
コロナ禍の影響で、多くの生産者さんが苦労されておられます。そんななか、新たな作物にチャレンジする意欲は素晴らしいと思います。
今後需要が見込めそうな作物をお探しとのことですが、結論から言えば「それがわかればみんな自分でやっている」というのが本音です。
質問者さんは、地域を巻き込み一大産地化したいという意欲もあるとのこと。それなら、バイヤーや飲食店、シェフなどの「販路側」を巻き込んで、作物を「一緒に考える」のはいかがでしょう。
販路側の意見を取り入れれば、一定の販路はすでに見込めています。群馬県だけで採れるようなものなら、さらに差別化できます。
では、具体的な品目は?群馬県だけでなく全国の前例としては、「ヨーロッパ野菜を日本で栽培」、「地域の伝統野菜を復活」などが参考になります。アジア料理に使うパクチーがブームになると、全国で一斉に栽培がはじまりました。
このように、農産物から「料理」に視点を移すと、「その料理に必要」で、「日本ではまだあまり作られていない」がキーワードになりそうです。飲食店やスーパーなどでのリサーチからスタートしてはいかがでしょう?