夫と息子が農業を、私と30代のパートさんの2人で採れた野菜を活用したレストランを運営しています。
地元のラジオ局から取材をしていただいた影響もあり、順調に売り上げは伸びていたのですが、新型コロナウイルスの影響で、客足が減ってしまいました。
パートさんもママ友に声をかけるなど、お客さんを呼ぼうと頑張ってくれていますが、コロナ前の半分ぐらいまで、売上は減っています。
起死回生のために、我が家で育てた野菜と、農業・畜産仲間の食材を使い、スープカレーやビーフシチュー、手作りハンバーグ、野菜のグリルなどをテイクアウトや冷凍食品の形で販売したり、スーパーや道の駅、ネットなどで道内、道外の人にも売りたいと思っています。
ただ、冷凍食品にする設備の導入費や、今の人員でできるか、販路の開拓、ネット販売のやり方など、正直わからないことだらけです。どういうところから手を付けていけばいいのか、アドバイスが欲しいです。
(北海道・村上さん/仮名・50代)
仲野真人
株式会社食農夢創 代表取締役
事業再構築補助金の活用や6次産業化のための補助金もあります。まずは相談してみましょう
直営レストランの客足が遠のいているのは、コロナ禍が原因でしょうか?
そうであれば、中小企業庁の「事業再構築補助金」という制度があります。事業再構築補助金は、コロナ禍の中で、事業の方向性を大きく転換し、新分野展開事業転換、業種転換等の取り組みなどを行う場合に、2/3の補助が出ますので、ぜひ検討してみてください。
事業再構築補助金は中小企業が対象となりますが、個人事業主も対象になります。そのため「うちは会社ではないから関係ない」ということはありませんので、ご安心ください。
受けられる補助は、中小企業だと100万円~6,000万円(通常枠)、補助率(取り組みを行う時にかかる経費のうち)2/3を補助してくれます。さらに、緊急事態宣言特別枠として、令和3年1月~3月(変更になる可能性あり)のいずれかの月の売上高が、前年または前々年の同月と比べて30%以上減少している場合は、従業員数に応じて、100万円~1,500万円、補助率3/4(中小企業の場合)の支援が受けられます。
この補助金に応募するには、3つの条件を満たす必要があります。
1.申請前の直近6ヶ月のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前の同じ3ヶ月の売上合計高と比較して、10%以上減少していること
2.事業計画を、認定経営革新等支援機関(国が認めた税理士や中小企業診断士やコンサルタントなど)や金融機関と決定し、一体となって事業の再構築に取り組むこと
3.補助事業の終了後、3〜5年で付加価値額(利益)の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成
さらに、事業をどのように新しい方向へ変えるのか、事業再構築指針の手引きを見ながら考え、15ページ以内の事業計画書の作成や、各種売上計画の作成・入力を行うことが必要になります。
ほかにも、「六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画」の申請を行い、認定を受けることができれば、加工品の商品開発費用や、加工施設の設備投資の補助も受けられます。 制度の理解や、認定に関する手続は非常に複雑ですので、管轄する地方農政局などの総合相談窓口へ相談する事をおすすめします。
相談先は行政のため、役所と同じく縦割りなので、部署が異なると再度出直しということも考えられます。まずは、電話で事前相談することをおすすめします。 また、補助金を個人で申請するのは非常に大変です。全国47都道府県に、よろず支援拠点という、なんでも無料で相談できる拠点もあるので、ぜひ相談してみてください。