お米のほか、米粉を製造しています。
製麺所と組んで米粉を使った麺を製造しています。
グルテンを含まないので、小麦アレルギーでも食べられることや、カロリーが少ないことなどを売りに製造していますが、一時のブームが過ぎたのか、売れ行きが落ちている状況です。
妻が幼稚園で働いており、そこで親御さんの話を聞いていると、小麦アレルギーの園児もいるそうで、そういう子供がパンやスイーツを食べる際に、選択肢に相当苦労しているという悩みを聞きました。
現在であれば、パンケーキやフルーツサンドなどが流行しているようですが、スイーツの分野で米粉を活かしたものがあるのか、また、他に米粉を活かした商品で売れているのはどのようなものがあるかを知りたいです。
(富山県・木下さん/仮名・50代)
山田実加
名古屋文化短期大学 フードビジネス専攻 教授/ パティシエ
流行りものは短命のケースも……。商品価値の視点からの6次化を検討しましょう
流行りものは製品寿命が短く、サイクルも短命です。ご質問の内容から、非常に社会性の高い意思をお持ちのようなので、「商品開発」の視点に重点を置いてコメントします。
現状の問題として、販売不振の問題がどこにあるのかは不明なため、今回は「製品」というお考えの元に解説します。
はじめに、「ターゲットは購入する人と食べる人を同じにする」ことです。製品を開発する際に「お客さまが誰であるか」「どのようなシチュエーションで製品価値を体験するのか」を想像することが非常に重要です。
そうすると、ターゲット(購入してくれそうな人)は「食物アレルギーを持っている子供をもつ親」であり、シチュエーションは「親がお子さんのために購入し、家庭で食べる」という状況を想定されています(買う人と食べる人が分かれている)。
ターゲットの背景を考えてみると、忙しい主婦の方が、子供向けの食物アレルギー用とその他の家族用など、用途を考慮しながら、買物の際に商品を購入することは非常に大変であることが想定できます。
また、家族全員が同じものを食べ「美味しい」の笑顔を共有できることが家族の幸せな光景といえます。よって、「食物アレルギー用」という限定的なイメージではなく、「米粉でつくるユニバーサルデザインの製品を開発する」という視点が重要かと思います。
ふたつめに、製品価値として「すぐに食べることができる」「毎日食べても飽きない」こと。
商品が食べられるシチュエーションに、日常的な食事をイメージされる場合「毎日食べても飽きが来ない」ことも必要です。
更に、食べるために手を加えなければ食べられないものではなく「すぐ食べられる」というのは、昨今コロナ禍で家事が増えている社会では非常に魅力です。
事例でいえば、昨今の高級食パンブーム(そのまま、もしくは焼くだけで食べられる、飽きない)がイメージしやすいかと思います。
3つめに、製品イメージである「グルテンフリー」を強調すること。近年、グルテンが入っていない「グルテンフリー」の製品に対し、健康的でポジティブなイメージが高まっています。
日常から健康に気を配る人々は、グルテンフリーを意識的に取り入れているため、ターゲットを広げることが期待できます。
4つめに「昨今の米粉商品」です。米粉の特性は、「しっとり感」と「もちもち食感」だと思います。
とくに「もちもち」という食感は昨今、スイーツ分野において女性に人気な食感です。もちもち食感を活かした製品は、例えばロールケーキ・フィナンシェなどがあります。
商品展開としてベースとなるプレーン味をつくり、フレーバーを変更することでバリエーションをくみ上げることができます。
例えば、ロールケーキであれば生地はすべてプレーン1種類であり、クリームでバリエーションを組むことが可能です。また、スイーツではありませんが、米粉のグルテンフリー食パンなどもあります。
このようなバリエーションつくりも重要です。