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魚の行商をしたいが届け出や認可が必要なのでしょうか?

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魚の行商をしたいが届け出や認可が必要なのでしょうか?

テレビで同じ長崎県の漁師が、漁獲量が減ったり、魚価が下がっていることから、収入を少しでも確保するために行商を始めたと紹介されていました。

同じ曜日の同じ時間に同じ場所で、獲れたての魚を軽トラックに積んで売っているようです。

これなら、スーパーや市場では取り扱わない魚も売ることができるし、いいアイデアだと思いました。

私も行商に挑戦してみたいと思ったのですが、行商を行うには届け出や許可が必要なのでしょうか?
(長崎県・上田さん/仮名・40代)

長崎一生

さかなの会代表

行商を行うには行政への届け出が必要です。保健所に問い合わせましょう

魚の行商を行うためには通常、行政への営業届け出が必要になります。

例えば鹿児島市の場合では、厚生労働省の「食品衛生申請等システム」を利用してオンラインで申請できるほか、鹿児島市保健所生活衛生課でも受け付けをしています。

そのため、届け出については、まず最寄りの保健所に問い合わせてみてください。

届け出が済んだら実際に行商を行うことになりますが、同じ場所に一定の時間とどまって販売する場合は「路上販売」となるケースもあり、その土地の所有者に許可を得る必要があります。

また、地域で既存事業者の縄張りがある場合は、もめごとになる可能性もあるので、行商を行うエリアの現状を下調べしておくと良いです。

行商は消費者と直接会話できる機会ですので、魚の魅力や食べ方を伝えて、魚の価値を上げてみるのもおすすめです。

お客さまの要望を聞くことで、普段の漁に生かせるところもあると思います。

行商を行うことで、新鮮な魚を直接消費者の元へ届けることができます。その結果、地域の人に魚を好きになってもらえると思いますし、大変意義のあることだと思います。ぜひとも実現していただきたいです。

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本間俊輔

株式会社水土舎主任研究員

保健所の営業許可を得るために、設備を確保し、基準を満たす必要があります

コロナ禍のいま、市場に出荷しても魚の値段がなかなか付かず、ご苦労されているものとお察しします。

直接お客さんのところを回って魚を売るのは良いアイディアですね。しかし、実際に始めるとなるとそれなりの苦労や設備投資が必要になります。

そのあたりをよく検討して、理解した上で始められるのがよろしいかと考えます。

まず、魚の行商(移動販売)を始めるには保健所への申請または届出が必要になります。

保健所というのは各都道府県や政令指定都市に設置されている行政機関で、住民の健康や衛生に関わるさまざまな手続きを行っています。

飲食店や食品加工場、移動販売などを開業する際は、原則として所轄の保健所に届出や申請を行って、営業許可を取ることになります。

質問者さんが検討されているのは自動車を使った鮮魚や干物等の水産加工食品でしょうか?

その場合、「食品移動自動車」の「魚介類販売業(「自動車」)の許可が必要になります。

魚の行商の場合、軽トラが一台あれば簡単に始められそうな印象を持ちますが、営業許可を取得するのはそう簡単ではありません。

飲食店や加工場の場合は、基本的に店舗や工場の施設が基準を満たしていて、「食品衛生責任者」の資格所有者がいれば営業許可が取得できる場合が多いのですが、移動販売(行商)の場合はやや複雑です。

①販売を行う自動車(営業自動車といいます)
②魚の下処理やパック詰めといった仕込みに使う加工場(営業施設)
③ 販売を行う人(「食品衛生責任者」の資格が必要)
のすべてが揃っていて、なおかつ保健所の基準を満たしている必要があります。

具体的に説明すると、車については魚の販売目的だけに使う車であり、冷蔵施設や精製管理のための給排水施設を備えていなければならない。

仕込み用の施設については他の部屋と遮断されていて、床面は耐水処理がされていること といった具合です……。

それぞれの保健所ごとに各種基準や対応が異なることも多く、場合によっては担当者によって判断が異なる場合もあります。

ある市町村では保健所の基準が厳しく、何度申請しても許可が得られなかったのに隣町では簡単な検査で許可が取れてしまったという話も耳にします。

ただ、どの保健所でも無料の「事前相談」を受け付けていて、飲食店や行商を始めたい人が気軽に相談できる窓口が設けられています。

まずはやってみたい商売について保健所に相談してみるとよいかと思います。

相談する際には、どんな場所(販売場所の市町村やスペースの有無)で、いつ、どんなもの(販売を想定している魚の種類や加工形態)を売ろうとしているのかをできるだけ具体的に伝えると良いでしょう。

相談内容が具体的であればあるほど適切なアドバイスが得られるはずです。

以上が営業許可の取得に向けたアドバイスになりますが、魚の行商を始めるにあたっては、申請の事務手数料に加えて、車の購入費や改造費、処理施設の確保、必要な資格の取得といったように相当な費用と手間、時間が掛かります。

また、行商を初めてみたものの思ったようにお客さんが集まらず利益が上がらなかったり、先行しているライバルとのトラブルが起こったりといろいろな問題が起きるかもしれません。

近年ではインターネットサイトを活用した通信販売や、漁協・農協が運営する直売所、道の駅等で生産者が魚を直接販売するケースも増えています。

すべてを自前で用意しなければならない行商と比べると、こうした直販の方が掛かるコストや手間が少なく済む場合も多いです。

行商に限らず、別の形での販売も一度検討してみると良いかもしれません。

一方で、これまで直に接することのなかった一般のお客さんに魚を販売し、喜んでいる姿や味の感想を聞けることは何よりのやりがいに繋がりますし、場合によっては大きな利益を上げることも可能です。

魚食普及という意味では社会的な意義も大きなものです。苦労は多いかもしれませんが、ぜひ挑戦して欲しいと願っています。

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