脱サラして茨城県へ移住し、農業をしています。
まだまだ経験が浅いため、今は何にでも挑戦してみようと季節の野菜をいろいろと育てています。
できた野菜は出荷前に地元の人に食べてもらい、品質や味の感想を聞いて、出荷できるものは産地直売所に卸しています。
こだわりは農薬や化学肥料を使わず、できるだけ自然の力で育てていること。
野菜本来の自然の美味しさを伝えていきたいという思いがあります。
今後の展望は、販路を広げ自分の野菜ファンを作ることです。
私の作る野菜をたくさんの人に注文してもらうためには、インターネットで販売できる、ネットショップが一番いいのではないかという思いに至り、現在構想を練っています。
例えば、野菜は一種類に絞らずに、その時々の旬の野菜をセットにして販売したりなど。直販で商品をコントロールすれば、ロスや廃棄の減少につながるという期待もあります。
最近はインターネットを通じてさまざまな通信販売のサービスができていますが、そのなかでも野菜販売に適したものを知りたく、質問させていただきました。
また、導入に関しての注意点などあれば、ご指導いただけると嬉しいです。
(茨城県・前田さん/仮名・30代)
脇坂真吏
AgriInnovation Design/東神楽大学学長
自分に合ったネットショップ探しは、お試し運転から始めるのがおすすめです
販路拡大への挑戦とロスを削減したいお気持ち、大変素晴らしいと思います。まずは、ネットショップを始める前に一点だけ覚えておいてほしいことがあります。
それは、インターネット販売の構築は簡単でも、実際に売るのは非常に難しいということです。
というのも、インターネットでの売上は広告費次第だからです。
これは自分がネットを利用するときを思い浮かべてもらうとわかりやすいですが、何か購入しようとGoogleで検索をすると、amazonや楽天市場がたいてい上位に出てきて、個別のサイトはなかなか出てきません。
また、上部に出てくるページのタイトルには「PR」「広告」という記載がありますが、これは上位表示するために広告費用を払っているということです。
では次に、ネットショップの種類をご紹介します。サイトを作るには、大きく2パターンがあります。
ひとつは、自社サイトを制作する方法。自分で一から制作するには専門知識が必要なので、5分程度で作れる簡易サイトがおすすめです。
例えば、「STORES」や「BASE」などのサービスが該当します。CMでご覧になられたこともあるのではないでしょうか。
特徴は、見せ方やデザイン、ドメイン(インターネット上の住所)も自由に設定可能でき、初期費用を抑えられること。
反対に、購入後の出荷対応も全て自社で実施、自らSNSやネットで広告費をかけて営業しなければならないのがデメリットです。
もうひとつは、販売サイトに登録する方法です。複数の店舗が集まるモールと呼ばれるショップに登録する方法です。
「食べチョク」や「ポケットマルシェ」「OWL」「楽天市場」「amazon」などが該当します。
最近では農業特化のサイトも増えてきましたよね。メリットはサイト自体がPRを実施してくれたり、登録後の運営フォローがあること。その分、取引手数料がかかるのがデメリットです。
つまり、自社で人件費をかけて運営するか、販売サイトへ費用を支払って任せるかのどちらかとなります。
きちんと管理できるのであれば、複数のサイトに登録しても構いません。登録したら、まずは試用運転をしてみることが重要です。
登録商品も最初から全てやりきるのではなく、ひとつずつでOK。たくさんの方法がありますので、費用と作業負担は割りに合っているか、操作はしやすいかなど、試用運転をしながら自分に合ったサイトを見つけることが重要です。
いろいろ試して自分に合うサイトが見つかったら、本腰を入れて取り組みます。もちろん、ネット販売を辞めるという選択肢も含めて。
ほかにも、ふるさと納税に出品する方法もあります。最近は本当に種類が多いので、いくつか試してみて、ぜひ最適な方法を見つけてくださいね。