九州で野菜や果樹栽培をしている農家です。
最近、農家などの生産者と、それを購入する消費者をつなぐ、産地直送のネットサービスに興味を持っています。
新型コロナの影響で、利用する消費者だけでなく、販売する生産者ユーザーも増えていると聞き、私もやってみようかと検討しているところです。
しかし、インターネットで「野菜 直売 ネット」と検索しただけでも、食べチョク、クックパッドマート、ポケットマルシェなど多くの業者があることがわかりました。
楽天市場でも農産物の販売は盛り上がっているらしく、Amazonの市場直送便なども入れると多すぎて把握できません。
それぞれサービス内容が違うと思うのですが、口コミや評判は野菜を購入する「消費者」目線のものばかりなので、農家にとってはあまり参考にならないようです。
そこで、利益率や出荷の手間などから、おすすめのサービスが知りたいです。
ユーザーがたくさんいる業者がいいのですが、反対に競争率が高く、出品物が重複しやすいなどのリスクもあるのでしょうか。
どういった特徴があるのか、教えてください。
(福岡県・佐川さん/仮名・49歳)
仲野真人
株式会社食農夢創 代表取締役
食べチョクは手数料が安いが、差別化が重要。まずは自分に合ったサービスを探してみましょう
おっしゃる通り、コロナ禍による外出自粛で「巣ごもり消費」が活性化しています。巣ごもり消費とは、自宅にいながらインターネットで買い物や料理、食事などを楽しむこと。外食の代わりに、自宅で料理を作って食べる「内食需要」が増えたので、産直ECサイト(お客さんが農家から直接農産物を購入できるサービス)が伸びていると考えられます。
このようなサイトは、いくつかのパターンに分かれます。食べチョクやポケットマルシェ(ポケマル)はマーケット・プレイス型です。他にもネットスーパー型、モール型があるので、それぞれの概要をご説明します。
1、マーケット・プレイス型
食べチョクやポケマルが代表的なサービスです。農家が、食べチョクやポケマルに出品し、お客さんから注文が入った後は、農家が直接やり取りをしなければなりません。その代わりに、手数料は食べチョクが20%、ポケマルが15%と、他のサービスよりは安めに設定されています。
2、ネットスーパー型
オイシックスや生協などが、このネットスーパー型の代表です。農家は、オイシックスや生協などの事業者とだけ取引を行うため、お客さんとは直接つながりません。その一方で、品質基準や取引量などに関して、細かい制約があります。
3、モール型
楽天市場やAmazonが、このモール型の代表です。農家はインターネット上に設けられたモール(市場)にお店を出し、注文があればお客さんに直接商品を発送する形になります。購入した方と直接やり取りすることはほとんどなく、ただ注文を受けて商品を送るだけです。楽天やAmazonは知名度や集客力があり、ユーザーも多いという利点があります。
ただその一方で、生鮮品、食品の市場はまだ小さいので、どのように商品を知ってもらい、販売促進をするのかも重要になります。また、出店するために手数料がかかるサイトもあります。食べチョクやポケマルよりも高額の手数料を要求されることが多いです。
農作物を取り引きできる主要なサービスを説明しましたが、どれも「出品したら売れる」ということはありません。どうやって商品の存在や魅力を知ってもらい、広告宣伝していくのかが重要になります。
特に、1のマーケット・プレイス型は、自分でSNSやブログなどを活用してファンを増やせることができれば、お客さんを集めることに繋がるので魅力的です。その一方で、商品をうまく魅せることができなければ、差別化は難しいかもしれません。
今後の具体的なやり方としては、いくつかのサイトで出品してみてはいかがでしょうか?自分の好みに合ったサービスを見つけ、注力するのがよいかと思います。