宮崎県で、両親の代から営んでいる電照菊農家を継承しました。
菊の花は主に彼岸やお盆、お葬式といった行事で用いられるため、季節によっては発注も多く、忙しくさせてもらっています。
今年で6歳になる娘から、「菊のお花ってどんなときに飾るの?」と聞かれたので、「お盆やお彼岸、お葬式だよ」と答えると、「暗いお花なんだね」とガッカリしているようでした。
もちろん、需要があるのはありがたいのですが、娘に限らず菊の花には暗いイメージを持つ方がほとんどだと思います。
そこで、栽培した菊の花の一部を明るいイメージの花として売っていきたいと考えています。
お盆、お彼岸、お葬式以外に菊の花が使われている事例などがあればぜひ教えていただきたいです。
(宮崎県・林正則さん/仮名・30代)
宍戸 純
大田花き営業本部商品開発部 部長
一定の輪菊は生産を行い、低需要期にはディスバッドマムや他品目へシフトしてはいかがでしょうか
輪菊の扱いですが、ご相談のとおり仏事利用がほとんどで、それ以外の利用はそう多くはありません。
輪菊の弱点は汎用性が低い点にあります。
それらに代わって、最近では「ディスバッドマム(洋菊)」が台頭しています。色や咲き方も豊富で用途も多種多様であるため、多くの花店から支持を集めています。
生花店の現主力経営者の嗜好や、消費者の好みを鑑みても、この先、輪菊の利用は減少する見通しです。
まずは、輪菊の生産体制の見直しについて、検討されてみてはいかがでしょうか?
輪菊を周年で栽培すると大概はお盆、年末、そしてその返しの作がどうしても4~5月の低需要期に当たります。
この時期に出荷数が増えて相場を崩すパターンが顕著で、1作で別の花かディスバッドマムに切り替えることを推奨いたします。
現に宮崎県中部の国富町の生産者の皆さんは、数年前から菊栽培の技術を生かしてダリアの栽培に切り替え、収益を上げている例もあります。
輪菊のイメージチェンジ作戦についてですが、愛知県では、ディスバッドマムのように開花させる花を生産したり、色を染めてカラフルな仕立てにするなどの商品開発を行ったりしていますが、売れるお店やターゲット顧客も限定的なものに留まっていて、大きな将来性は見込めません。
これらの策を打つよりも、もっとニーズのある花が沢山あるので、盆と年末2作栽培し、冬春期の1作は母の日向けに洒落たディスバッドマムや他品目へのシフトを私は推奨したいところです。