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電照菊の栽培で電球に集まる虫に困っています。対策方法はありますか?

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電照菊の栽培で電球に集まる虫に困っています。対策方法はありますか?

「電照菊」を栽培してる60代の農家です。

電照菊は、ハウスの内側にLEDの電球を設置して、人工的に光をあてることで、花芽の形成と開花時期を遅らせる栽培方法です。

しかし、夜に電気を使うので、虫が集まってきてしまい、被害を受けて出荷できない菊が多く困っている状況です。

ビニールハウスは密閉されているわけではなく、作業員が出入りするスペースや小さな隙間から虫がハウスの中に入ってきてしまうのです。

虫が花芽の中に入り込んで茶色く変色してしまうので、商品の価値が落ち、最悪の場合出荷できません。

いまは防虫ネットを使って対策していますが、ネットの隙間から入るような小さな虫の被害は絶えないです。
(宮崎県・小倉克典さん/仮名・60代)

兼森雅弘

株式会社カネヒロデンシ 代表取締役 会長

青色成分を抑えた白色LEDを検討してみてはいかがでしょうか

基本的なことですが、植物を育てる太陽の光は私たち人間の目には白く見えますが、これは赤・青・緑(RGB)の光の三原色を組み合わせることで白色の光ができます。白色LEDはこの仕組みです。

これまでの研究で、植物の光合成には三原色のうち赤色と青色の光が使われることがわかっています。

白色LEDには赤色、青色も含まれるので、植物を育てることができるのです。

一方、植物につく病害虫のうち、アザミウマ類の目には赤い光が見えないことが大阪府立環境農林水産総合研究所や農研機構などの研究で明らかになっています。

日中、ハウス内の葉っぱに12時間程度、赤色LEDの光を照射させることで、植物がよく成長し、病害虫にとっても葉が認識されにくくなるため、虫が寄り付きにくくなるという効果が確認されています。

この理由から、赤色と青色の光を足して紫色LEDを植物に照射している植物工場も珍しくありません。

植物は夜、光がないときに成長します。これは、もやしと同じ原理です。

朝から夕方まで葉に光合成で養分をためてから、光がなくなったら、茎を通して、一気に全体に養分を回します。

夜が来ないと葉っぱに養分が溜まったままなので成長は遅くなります。したがって、LED電球を24時間使うのは良くないのです。

小学校のときに、もやしの栽培実験をやったことを覚えていますか?

筒をかぶせてもやしを作りますが、筒の一部に穴を開けておくと、内部のもやしは光のある方向に向きます。

これは緑の光が当たった方が成長が遅く、当たってない方がよく伸びるからです。このように緑の光は植物の成長をおさえます。代わりにしっかりとした作物が作れるのです。

しかし、植物は赤色や紫色の光で育てることはできても、人間にとっては作業しにくいという問題があります。

一言で言うと、気持ち悪いのです。

そこで、当社では、緑色の成分を20%程度組み入れて、人間の目には白熱電球と同じような色に見える、「植物育成用白色オリジナルLED」を開発、製造しました。

こちらはしいたけ工場などで使われています。また、虫を寄せ付けやすい青色成分を6%程度に抑えた「防虫用電球色オリジナルLED」もあります。

ちなみに、LEDの色変更は、カラーセロハンなどの単純な仕組みではなく、蛍光剤という特別な薬剤を使ってコントロールします。

質問者さまの質問のなかに、LED電球の色に関する記述はありませんが、おそらく普通の白色でしょう。

それでしたら、白色に見えても、虫が寄ってくる青色の光成分があります。

防虫効果があり、作業のしやすい白色LEDを検討してみてはいかがでしょうか?

植物用のLEDは技術進歩が今も続いております。当社でも農家の皆さまのお役に立てるように、今後も、活動していただきたいと考えておりますので、気軽にご相談ください。

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宍戸 純

大田花き営業本部商品開発部 部長

赤色LEDの導入がおすすめです

電照菊に使用するLEDでは、赤色のLEDを導入する事がおすすめです。

すでにJA愛知みなみやJA諏訪など、菊の大型産地では導入されており、効果が出ています。

現在、輪菊における電照については赤色LEDがスタンダードです。

10年ほど前から農研機構などが実証事業を行い、防虫対策としてはっきりとした効果を立証しているので、質問者さんも赤色LEDへの切り替えを検討してみてはいかかでしょうか。

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寺田佳司

有限会社クール

花芽抑制のための電照でしたら660nmの赤色電球を使用するしか方法がなく、それでも虫を完全に防ぐことはできません。他の方法であれば、虫が光として認知する波長を含むためで、流石に路地栽培では無理です。
私はJAひまわり様と共にLEDの電照栽培球を開発しましたが、生産者の皆様は温室での栽培ですので、白色チップと660nmチップの組み合わせが基本となっていますが、農業での重要な光は、一般的にどこでも使用できる白熱球や蛍光球の代替えとなるLED電球。
だから6000K×5+660nm×3の8wタイプで、SMDタイプのレンズ付きを使用したLED電球が基本だと考えています。
特定の用途に用いられる波長の電球で、これが660nmの赤色と735nmの遠赤色になります。
そして皆さんがあまり注意を払わないところが、照射角です。
レンズ付きのチップを使用することで、通常120度の照射角は180度に広がり、電球のキャップ内面での乱反射を利用すれば、270度ほどまで照射角は広がります。
植物の表面に赤色の光が反射して虫が見えないように、ネット面にも光が当たることで、多分虫がネットの隙間を潜り抜けにくくなるのではないでしょうか。
電照時間も、現状の暗期中断の考え方でなく、スリップス対策を兼ねて、日の出前から14時間ほどの連続電照と言った、今までと異なる栽培法をテストされてはいかがでしょうか。

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