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サツマイモ栽培での牛ふんの役割や使い方を知りたい

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サツマイモ栽培での牛ふんの役割や使い方を知りたい

これからサツマイモ栽培に挑戦したいと考えている新規就農者です。

知り合いの農家さんに相談したところ「サツマイモは肥料をあまり必要としないので、牛ふんを使っている」と聞きました。

私もマネしてみようと思いますが、サツマイモを栽培したことがないため、牛ふんをどのように使えばよいかわかりません。

牛ふんにはどんな効果があり、どのように使えば良いのでしょうか?

山川 理

山川アグリコンサルツ代表、農学博士

さつまいも栽培では土づくりの堆肥として牛ふんが役に立つ

サツマイモ栽培における牛ふん堆肥の役割


養分の供給


牛ふん堆肥には、サツマイモが育つために必要な栄養素であるN・P・K(窒素・リン酸・カリウム)がバランスよく含まれています。

窒素は枝や葉の成長に、リン酸は花や実の生育に、カリウムは茎や根の肥大にそれぞれ欠かせません。

化成肥料と比べると、N・P・Kの含有量は2割程度くらいと少ないですが、サツマイモを十分に生育させることができます。

土づくり


牛ふん堆肥の役割として挙げられるのは土づくりです。

牛ふん堆肥には稲わらや木屑などの有機質が多く含まれており、土をやわらかくして保肥力や保水性を向上させる役割を果たします。

また、牛ふん堆肥の有機物が土壌中の微生物を活性化させ、作物に対する病害の抑制効果も期待できます。


牛ふん堆肥の使い方と散布時期


牛ふん堆肥は定植の1ヵ月前までに散布する


サツマイモ栽培で牛ふん堆肥を使用する場合には、購入したものを直ぐには使用せずに土と混ぜて一年くらい寝かせ、完全に熟成してから畑に散布して下さい。

牛ふん堆肥は、圃場の全面に散布して、ロータリーでよく耕運しておきます。散布の際には堆肥散布機を使用して、牛ふんを均等に散布することが大切です。粒状(ペレット)のものを使うと散布が楽になります。


10aあたり1000kgまでの散布量にする


圃場への牛ふん堆肥の投入量は、10aあたり1000kg以内が目安となります。

市販の肥料成分が表示されているものであれば施肥量の計算ができますが、近隣の畜産農家から堆肥を購入する場合には、大量に投入しすぎないように注意が必要です。


サツマイモ栽培で牛ふんを使うメリット


鶏ふんや豚ふんと比べ窒素が少ない


牛ふんに含まれる肥料成分は鶏ふんや豚ふんと比較すると少なく、特に窒素の含有量が少なく、いもの生育に必要なカリが多いことです。

そのため、窒素量を多く必要としないサツマイモ栽培においては、土づくりの堆肥として牛ふんは非常に適したものといえます。


微量要素を含んでいる


牛ふんには、肥料の3要素である窒素・リン酸・カリウム以外にもカルシウムやマグネシウムを含んでいます。

カルシウムは根の伸長や細胞壁の強化に役立ち、マグネシウムは葉緑素を作る大切な成分として使われます。

サツマイモの生育にはさまざまな栄養素が欠かせません。微量要素であるカルシウムやマグネシウムを含む牛ふんを使うことで、順調な生育をサポートできます。


環境に優しい


農業では、化学肥料の必要以上な投入により、土壌や水源への負担が課題として挙げられています。それは、サツマイモ栽培でも同じです。

サツマイモ栽培で牛ふん堆肥を使えば、養分の供給になり化学肥料の使用量を減らせます。

また、土壌環境が改善され病害虫の発生を抑制することで、農薬の使用量を減らすこともできます。

そのため、サツマイモ栽培で牛ふんを使うことは、環境に優しい農業へとつながるのです。


サツマイモ栽培で牛ふん堆肥を使うデメリット


大量に使用するとツルボケの可能性がある


牛ふん堆肥は早めの散布をしたり、量を控えめに使用したりしてサツマイモを栽培をするとよいでしょう。

特に、窒素が多いとツルボケになりやすいと言われています。

肥料成分が少ない牛ふん堆肥ですが、あまり大量に使用すると窒素過多に陥ってしまうことも。

サツマイモ栽培において、圃場に肥料成分が多いと茎や葉ばかりが大きくなり、イモが育たない「つるぼけ」になる場合があります。

つるぼけの対策についてはこちらをご覧ください
サツマイモ栽培で起こる「つるぼけ」について知りたい



未熟堆肥は病害の恐れがある


そのため、牛ふん堆肥は購入後に十分に寝かせて熟成させたものを使いましょう。

購入したばかりの牛ふん堆肥は促成堆肥と呼ばれ、十分に発酵しておらず、圃場に病気や害虫、雑草などを持ち込むことになってしまいます。

サツマイモの栽培で牛ふんを使用する場合には、完熟堆肥を使うようにしましょう。


牛ふん堆肥の特徴を理解しサツマイモ栽培に活かそう


サツマイモ栽培における牛ふん堆肥の役割は、養分の供給と土づくりです。

牛ふん堆肥を使用する際には、定植の1ヵ月以上前に圃場に投入して、畑になじませておきましょう。

そうすることで、養分が供給され微生物が活発に働くようになります。

ただし、牛ふん堆肥の投入量が多いとツルボケする場合もあるので、肥料成分を確認して控えめに使用しましょう。

サツマイモ栽培における牛ふん堆肥の役割と使い方を理解して、始めてみてはいかかでしょうか。

このお悩みの監修者

山川 理

山川アグリコンサルツ代表、農学博士

京都大学農学部卒、農学博士。農林省九州農業試験場では、サツマイモやイチゴの新品種を多数育成。1996年日本育種学会賞。1998年農林水産大臣賞。山川アグリコンサルツ代表として、食品関連企業の顧問や地域の活性化アドバイザーとして活躍。千葉大学園芸学部非常勤講師。『サツマイモの世界 世界のサツマイモ: 新たな食文化のはじまり』など著書多数。

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