千葉県で稲作農家をやっています。
だいぶ前に知り合いから「収穫後に放置していたひこばえの穂を収穫してみたら2俵にもなった」という話を聞いたことがあります。
今年は夏場が暑かったために収穫が例年よりも早まり、私の田んぼもすでにひこばえがだいぶ伸びて、立派な穂ができています。
背丈が低いので、通常のコンバインでは刈り取りは難しそうですが、収穫したらそこそこの収量がありそうです。
仮に汎用のコンバインでこの二番穂を刈り取って乾燥・調整した場合に、食味や品質は1回目に収穫したものに比べて劣りますか?
(千葉県・渡辺和巳さん/仮名・50代)
佐々木茂安
日本のお米をおいしくしたい。佐々木農業研究会代表/農業経営技術コンサルタント
米の品質に直結するのは適正な気象条件です
お米づくりは「太陽光発電で得た電気を用いて、水の電気分解で得た水素を二酸化炭素と結合する作業」と考えると光がいかに重要かということが分かります。
日長は6月が最も長く、冬に向かうほど短くなります。
デンプンをためる場合、同じ日数でも日照時間の長い方がたくさんためることができます。
現在栽培に選ばれたお米の品種は、味、外観品質や収量がそれぞれ最適な気象条件下で成立します。
早い品種は日長を活かし、遅い品種は長い登熟日数もって登熟していきます。
従って、この条件を逸すると最高のパフォーマンスは得られないわけです。
近年、温暖化に影響で品種登録の古いものは、最適な気象条件で栽培することが出来なくなっております。
ご質問の「ひこばえ」の収穫物が、その品種にとって適正な気象条件だったかを検討する必要があります。
昨年、農研機構が「にじのきらめき」を用いて、再生二期作により収量は地域の倍あったと発表がありました。
この記事では、一作目より二作目は食味や外観品質は落ちるとありました。
つまり、二作目の栽培期間は「にじのきらめき」より早いものが求められるようです。
再生二期作は、早場米に有利な栽培方法だと思いますし、適した品種などこれから技術も向上すると考えると、収量だけでなく品質や食味も向上していくと思います。
現状は、再生による二作目は収量、外観品質、食味のいずれも一作目より劣る確率は高くなります。