福岡の農家をやっています。現在は、季節野菜をいろいろと栽培して、地元の産直に卸しています。
できるだけ有機肥料を使い、農薬を使わない栽培方法に挑戦しています。
夏野菜はトマトやナス、キュウリの他にもレタスや枝豆など多品目を地元の産直に出荷していますが、その中でも最近はズッキーニが人気です。
ズッキーニは緑色のグリーントスカという品種で、4月下旬に種まきして6月〜7月頃に収穫しています。
植え付け前には土壌酸度をpH6.0〜6.5に調整し、苦土石灰を散布。株間80cm、条間180cmをベースに畝を作っています。
ズッキーニを長期収穫してさらに収量をあげたいと思っていますが、なにか栽培中のコツはありますでしょうか。
(福岡県・田畑信子さん/仮名・30代)
龍 慶介
てしまの苗屋/てしま農園
ズッキーニの収穫量をあげるためには、樹勢を落とさず、株を健康的に育てることが一番重要です
苗専門の農業法人と提携している「てしまの苗屋」です。弊社でもズッキーニのポット苗は人気商品です。
収穫量をあげるためには、樹勢を落とさず、株を健康的に育てることが一番重要です。
そのためのポイントは次の5点です。
①生育適温の維持のためマルチ、トンネル栽培をする。
九州での栽培なので、例年5月中旬以降は気温も十分高くなってくると思いますが、気温が高くなってもトンネルは取らずに、めくったままの状態で栽培を続けます。
ズッキーニは主茎が濡れると、うどんこ病や灰色カビ病、疫病などが発生しやすくなるため、トンネル状に覆ったビニールが屋根の役割になり、主茎を常に乾いた状態に維持することができます。
近年気温と日射がかなり強い傾向があるため、栽培環境が暑くなりすぎる場合、マルチをグレーもしくは、ホワイトや透明マルチなどにすると良いでしょう。
ズッキーニは根をあまり深く張りませんので、地温が高くなりすぎる場合に有効です。
②栽培初期の雌花や形の悪いものは早めに摘果する。
カボチャやキュウリ、ナスなどと同じように、株の幼いうちに付く花芽については早めに摘果してください。
そうすることで主茎や茎葉が大きく太く育ちますので、その後の実付きが良くなります。
また、受粉に失敗したり、形状が悪いものについては早めに摘果し、株元は常にすっきりと落ち葉や花がらなども片づけておきましょう。
③支柱を立てて主茎が傷まないようにする
成長がある程度進むと、茎葉だけでは主茎を支えることが難しくなってきます(葉もとても大きくなるので風にもあおられやすくなります)。
そのため主茎が動いて傷みが出てしまわぬよう、1m程度のイボがついた竹を使って支柱を立てると良いです。支柱と主茎は麻ひもなどで固定するとなお良いでしょう。
トンネルを設置している場合は、トンネル設置している場合はイボ竹をまっすぐは挿せないと思います。
ビニールにかからないように斜めに挿すとやりやすいです。
④ 雄花の付きやすい黄色ズッキーニと混植する
同じ品種のズッキーニを同じタイミングで植えていると、雄花の開花期と雌花の授粉タイミングが合わなくなることがあります。
少ない量でも構いませんので黄色ズッキーニを一緒に植えておくと、黄色ズッキーニの方が雄花がたくさん付く傾向がありますので、受粉のタイミングで雄花がないというリスクを下げられます。
※混植してもズッキーニにキセニア(色交じり)などが起きることはないのでご心配なく。
⑤木酢液主体の殺菌活性剤を利用する
固形肥料の追肥と併用して、有機栽培で殺菌と防虫、根の充実をさせるためには、木酢液と液肥を利用すると良いでしょう。
特に木酢液はチッ素過多防止や土中有用菌の増加、ウリハムシ除けにも効果的なので500〜1000培に薄めたものを1週間に1度程度、株全体に散布しましょう。
上記以外にも、さまざまなやり方はあると思いますが、ご参考になれば幸いです。