養殖サバと天然サバの違いは？漁業者としての違いを教えてほしい

YUIME Japan編集部 / 2023.11.22

漁法・養殖法

#サバ #沖合 #沿岸 #養殖

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もともと釣りが好きだったので、転職を機に漁師になりたいと考えています。しかし漁船に乗るのは不安です。

ゆくゆくは独立して自分の会社を持ちたいと考えていますが、漁船で漁をするよりも、養殖のほうが経営が安定しているイメージがあります。

いま検討しているのはサバの養殖業ですが、天然物のほうが高く売られているような気がします。

養殖のサバを天然と同じくらい高く売ることができれば、収入も増えると思うのですが、天然物と養殖の違いがよくわかりません。

養殖サバと天然サバを出荷するまでの違いや、養殖にした場合のメリットを教えてほしいです。

中平博史

全国海水養魚協会専務理事

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養殖サバは天然に比べ一年通して出荷できるため、収入が安定しやすい

養殖サバと天然サバの違い

天然サバは、広い海を回遊しているため、身が引き締まっていて、旬のサバは脂ノリもよくなっています。

これに対して養殖サバは、餌の配合を工夫することで、サバの旨みを引き出して脂のりがよくなります。

さらに、天然サバと違い、季節に関係なく、いつでも出荷できることが特徴です。

また配合飼料を餌として使えば、アニキサスという寄生虫による食中毒の心配が少なくなるといったメリットもあります。

他にも、サバは鮮度が落ちやすいという欠点がありますが、養殖サバは生きたまま輸送可能で、海から離れた場所に新鮮なサバを提供できることがメリットです。

安定して出荷できる養殖サバ

定置網漁などサバを自然界で漁獲する方法では、水揚げ量が自然条件に左右されやすいというデメリットがあります。

しかし養殖業では、自然条件などに左右されにくく計画的に安定してサバを提供できるため、収入も比較的安定しやすくなっています。

また、天然サバに比べて、大きさや品質などの個体差を少なく、年間を通じて一定品質のサバを提供することができます。

他にも養殖サバは、生育具合に合わせて出荷数を予測しやすいため、受注管理もしやすくなります。

ただし、生け簀等の管理費用や餌代が必要になるため、生産コストが高くなります。

さらに、生け簀の中で飼育されているため、病気が他の魚に蔓延しやすくなることにも注意しなければいけません。

養殖サバの占める割合についてはこちらをご覧ください
「国内で流通するサバのうち、養殖サバの占める割合は？」

海の資源管理ができる養殖サバ

養殖では、サバを効率的に育てて出荷しているので、海の資源を獲りすぎることがなく、限りある資源を守っていくことができます。

ただし、餌の残りが海を汚してしまう恐れがあるため、適量の餌を与えるよう工夫することが大切です。

サバに給餌する餌についてはこちらをご覧ください
「サバの養殖に使用する餌は？餌の種類と特徴を教えて欲しい」

養殖の場合、海面養殖と陸上養殖がある

海面養殖は海でサバを養殖する方法で、陸上養殖は陸上に水槽を設置してサバを育てる方法です。

海面養殖は、網で囲う小割り式で比較的穏やかな湾など、生け簀を設置する場所が限られます。

さらに、陸上養殖に比べて自然環境に左右されやすくなりますが、施設費などのコストは安く済みます。

一方で、陸上養殖は、海からポンプで海水を汲み上げて水槽に入れるかけ流し式と、飼育している水を浄化してから水槽へ戻す閉鎖循環式があります。

設備投資や管理費が海面養殖に比べて高額になりますが、天候に左右されず、場所の制約も少ないことがメリットとして挙げられます。

サバ養殖と天然サバとの違いを理解してサバの養殖をはじめよう

天然サバは、身が引き締まっていて、旬の魚は脂ノリもよくおいしいですが、養殖サバは季節を問わずいつでも一定品質のおいしいサバを出荷できます。

また、養殖サバは生きたままの輸送もできるので、新鮮なサバを提供でき、天気などに左右されにくく安定してサバを計画的に出荷できるため、収入も安定しやすいのが特徴です。

配合飼料を餌として使うことでアニキサスの心配も減りますし、餌にこだわってブランドサバとして売り出している事例もあります。

養殖サバと天然サバの違いを理解して、サバの養殖を検討してみてはいかかでしょうか。

サバがアニサキスに寄生される要因についてはこちらをご覧ください
「養殖しているサバがアニサキスに寄生される可能性はありますか？」