定置網漁でサワラの漁獲量を増やしたいと考えています

サワラが好む海流や水深に合わせ定置網の位置や角度、深さを調整します

サワラの生態と定置網での漁獲時期

サワラの特徴と生活サイクル

サワラは、すばやい泳ぎで知られる大型の回遊魚です。主に暖かい海域に生息し、生活サイクルの多くを開放水域で過ごします。

サワラは一生のうちに複数回の産卵を行い、産卵期には大規模な群れを形成します。

サワラの生態や産卵期を把握しておくことで、漁獲効率を高めるための戦略を立てやすくなります。

最適なサワラの漁獲時期

サワラの漁獲に最適な時期は、産卵周期と密接な関係にあります。

通常、春から初夏にかけて水温が上昇すると、サワラは産卵のために特定の海域に集まります。

この期間にその海域で漁獲を行えば、より多くのサワラを捕獲できます。

また、産卵後は栄養を取り戻すために活発に餌を捕食するため、この時期も狙い目です。

定置網でのサワラの漁獲方法

定置網漁法は、魚の行動パターンを利用して捕獲する漁獲方法です。



垣網が魚の進路を遮断し、その先の運動場へと誘導します。

運動場は四方が網で囲まれており、一度入ってしまった魚が逃げにくい設計になっています。

運動場から登網を経て箱網へと移動し、最終的に箱網で漁獲します。

サワラが潮流に乗って進む習性を利用して定置網の中へと誘導し、漁獲ができる仕組みになっています。

定置網の構造についてはこちらをご覧ください
「定置網とは？どういう仕組みや構造で魚を漁獲しているのでしょうか？」

効果的な設置場所の選定方法

定置網を設置する際には、魚の回遊ルートや海底の地形を考慮する必要があります。

サワラを漁獲する際は、サワラが好む海流や水深を特定した上で、そのエリアに網を設置することが重要です。

一般的には、サワラは暖流の表層や中層水域を好む傾向にあります。

また、定期的に環境調査を行うことで、最もサワラの多い地点を特定し、漁獲効率を最大化させることができます。

海洋環境は地域によって異なるため、漁獲をしたいエリアの環境調査をすることをおすすめします。

サワラの資源の減少

サワラは、地域によって漁獲可能な時期や量、使用できる漁具の種類が定められている場合があります。

2023年に国際自然保護連合（IUCN）が東アジア近海に生息するサワラを「準絶滅危惧種」に認定しました。

日本だけでなく東アジア一帯でサワラの資源は減少しており、さらに海水温の上昇などの影響で、近年山陰地方のサワラの漁獲量は大きく落ち込んでいます。

そのため、TAC制度（魚種別に年間で漁獲できる量を定める資源管理の制度）の導入も検討されており、今後の水産庁の方針決定に注目が集まっています。

サワラの一般的な漁獲方法は流し網や巻き網、底引網などのため、定置網漁に大きく関係しているわけではありませんが、今後、環境に優しいと言われる定置網漁に注目が集まるかもしれません。