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レモン栽培で使う農薬の種類や特徴は?

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レモン栽培で使う農薬の種類や特徴は?

普段は果菜類を中心に栽培していますが、新たにレモン栽培にも興味をもっている新規就農者です。

無農薬でレモンを育てている方もいるようですが、病気や虫の被害があるとよく聞きます。

そのため、農薬の使用を検討しているのですが、レモンの栽培にはどのような農薬を使えばよいのかわかりません。

おすすめの農薬の種類や特徴を教えていただけないでしょうか。

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

レモン栽培ではかいよう病に効くICボルドー66Dやハダニ類に効くマシン油乳剤がおすすめ

レモン栽培でおすすめの農薬(殺菌剤)


レモン栽培でかいよう病やそうか病の対策としておすすめなのが、ICボルドー66DやナリアWDGなどの殺菌剤です。

これらの殺菌剤は、病気の発病前の予防として効果を発揮して、レモンの実や葉を守る働きをします。

ICボルドー66D


ICボルドー66Dは、かいよう病やそうか病に対する殺菌剤です。

この殺菌剤は、主に予防を目的として1ヵ月ほどの周期で散布します。かいよう病やそうか病が圃場に蔓延してからの使用では遅いので、早期発見・早期使用を心がけましょう。

また、レモンの果実がなっている時期以外にも、冬の防除としてICボルドー66Dを使用することもできます。

かいよう病を次作に持ち越さないことを目的とした使用も効果的なため、レモン栽培で重宝する殺菌剤の一つです。


ナリアWDG


ピラクロストロビンとボスカリドの2成分を兼ね備えた殺菌剤として、ナリアWDGがあります。

ナリアWDGはそうか病の他、灰色かび病や黒点病にも効果のある殺菌剤です。

残効性に優れており、梅雨の時期になかなか農薬散布ができない場合には取り入れたい殺菌剤の一つです。


ストロビードライフロアブル


ストロビードライフロアブルは、灰色かび病、黒点病、そうか病に効果がある殺菌剤です。

ストロビードライフロアブルの特徴として、植物体に均一に有効成分が広がりやすいことが挙げられます。そのため、薬剤がムラなく散布されやすく、殺菌効果の向上に役立ちます。

予防効果に優れていますが、病気の発生初期にも高い効果を発揮するので、早めの使用が重要です。

ボルドー液との混用は避けてください。


レモン栽培でおすすめの農薬(殺虫剤)


レモン栽培では、殺菌剤だけでなくカイガラムシやダニ類などの害虫対策として殺虫剤も使用します。

マシン油乳剤やモスピラン顆粒水溶剤といった殺虫剤で、害虫の発生初期から防除するのがおすすめです。

マシン油乳剤


カイガラムシやハダニ類に効果を発揮する殺虫剤に、マシン油乳剤があります。マシン油乳剤は大きく分けて、春から初夏にかけて使用する場合と、冬に使用する場合に分けられます。

春から初夏の時期では、ハダニ類とカイガラムシの密度を下げることが主な目的です。

さらに、冬の使用では、害虫が越冬しないことを目的として夏場の使用濃度より濃いめで散布します。

夏場で害虫を多発させないように、冬に害虫駆除を心がけ、春頃に初期発生を抑制することが理想のサイクルといえるでしょう。


モスピラン顆粒水溶剤


アブラムシ類やミカンハモグリガからカイガラムシ類まで幅広く対応しているのが、モスピラン顆粒水溶剤です。

モスピラン顆粒水溶剤は、ネオニコチノイド系の殺虫剤で、浸透性に優れた特徴をもっています。

多くの虫に効果があるモスピラン顆粒水溶剤ですが、春先のミカンハモグリガ対策として使われることが多いです。ミカンハモグリガによる被害は、傷口からかいよう病をひき起こしやすいため、早めの防除を徹底することが重要といえます。


サンマイト水和剤


サンマイト水和剤は、チャホコリダニなどのダニ類に効果がある殺虫剤です。ハダニ類やサビダニの卵から成虫まで速攻的に効き、その効果が長続きする特徴をもっています。

レモン栽培では、開花して花弁が落ちる落弁期~10月頃にかけて発生するチャノホコリダニに効果のある殺虫剤として使用されることが多いです。

ダニ類は発生後の繁殖スピードが早いため、被害を確認してからの防除ではなく、予防的な農薬散布をすると良いでしょう。


レモン栽培で農薬を散布する際の注意点


混用に注意する


農薬を散布する際には、殺虫剤と殺菌剤を混ぜたり、殺菌剤と殺菌剤を混ぜたりすることがあります。

そのように、農薬を混用する場合には、混用しても良いかどうか調べてから混用し散布するようにしましょう。

農薬の混用が認められていないケースだと、農薬の効果が低くなってしまったり、作物に薬害がでてしまったりすることがあります。

農薬を散布して思うような効果が出ないということがないように、農薬の混用には注意しましょう。


収穫前日数に注意する


農薬にはそれぞれ使用時期が定められています。

例えば、ある農薬で使用時期が「収穫14日前まで」となっていた場合、レモンの収穫日から14日前までの使用とされています。

春先であれば農薬の収穫前の使用日数について、そこまでシビアに考えなくてもよいですが、レモン収穫間際の農薬散布では、レモンの収穫日に影響がない農薬を選択するようにしましょう。


高温時は農薬散布に注意する


農薬散布をする際には、日中の高温になる時間帯は避けるようにしましょう。特に夏場やハウス栽培でハウス内が高温になっている場合には注意が必要です。

高温時に農薬散布をすると、薬害が発生して葉焼けを起こしたりする場合があります。

日中が高温になってしまう時には、午前中や夕方など少しでも気温の下がっている時間帯に農薬散布するようにしましょう。


農薬はローテーション散布をしましょう


同じ農薬ばかり使用していると、害虫や病気にその農薬に対する耐性がついてきます。農薬散布は、毎回(系統の)異なる農薬を散布するようにしましょう。


レモン栽培で使用する農薬の特徴を理解しよう


レモン栽培では、レモンの実が結実する前から殺菌剤・殺虫剤の使用をして、害虫や病気の被害を最小限に抑えるようにしています。

また、農薬の散布するタイミングは被害を最小限にするため、病害虫の発生前から発生初期に使用するようにしましょう。農薬散布時には、混用や収穫前日数に注意して、レモンの実や収穫に影響がないようにすることも大切です。

レモン栽培での農薬について理解を深め、レモン栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

注意すべき害虫や対策方法についてはこちらもご覧ください
レモン栽培で発生する害虫について知りたい

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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