定置網漁の網起こしのやり方を教えてください

YUIME Japan編集部 / 2023.09.27

漁法・養殖法

#沖合 #沿岸 #定置網

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地元にUターンすることになったので、これをキッカケに漁師になってみようかと考えています。

漁師体験イベントに参加し、定置網漁を体験したので、まずは定置網漁船に乗りたいと思います。

いまは情報収集を続けている最中ですが、網起こしについて疑問があります。

イベントの際にはクレーンで持ち上げていましたが、漁船にクレーンがついていない場合はどうやるのでしょうか？

また、一般的に網起こしはどのような方法で行われているのでしょうか？

石戸谷博範

海と定置網の研究室

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定置網の網起こしは魚を箱網の奥に追い込んで、手や機械で引き上げます

網起こしの方法

網起こしとは、定置網において、網を引き上げて魚を漁獲することをいいます。

定置網漁師は、漁獲する際に網を引き上げますが、この時引き上げるのは、箱網を引き上げます。

巨大な定置網をすべて引き上げているわけではありません。

箱網を引き上げる手順は、まず、箱網の入口側にある「漏斗口」のあるところから網を引き上げて、魚を箱網の奥に追い込みます。

この際、網を引き上げるのは、手で手繰り上げたり、油圧のスピンドルがついた機器で巻き上げたりします。

魚を箱網の奥へと追い込んだら、タモで魚を漁船に上げていきます。このとき、タモは漁船に搭載されているクレーンで持ち上げます。

この時、魚の鮮度を保つため、なるべく魚が暴れないように気をつけなければいけません。

漁獲した魚は、氷水が入った魚槽に入れ、すばやく冷却し、鮮度と品質を保ちます。

魚を漁船に積み終えたら、網の修繕作業を行い、次の漁のために再び箱網を海へ戻します。

定置網の箱網を締める手順

定置網の構造や箱網の役割についてはこちらもご覧ください
「定置網の箱網の役割が知りたい！」
「定置網とは？どういう仕組みや構造で魚を漁獲しているのでしょうか？」

網起こしの際のクラゲ対策

定置網漁では、大量の大型クラゲ（クラゲ）が入網してしまうと、揚網やクラゲ排出に時間がかかったり、漁獲した魚が傷つくなど被害が出てしまいます。

他にもクラゲによって、網を痛めたり、最悪の場合には網が破れることもあり、操業継続が困難になるような被害もあります。

このようなクラゲ被害に対応するため、網起こしの際には、以下のような方法で対策を行っています。

ひとつ目は、漁獲前に箱網内のクラゲをタモ網ですくって排出します。

この際、漁獲用のタモ網よりも目合が大きく、サイズが小さいタモ網を用います。

手順は、数人で熊手を操り、箱網内のクラゲ4～5匹を集め、タモ網へとかき入れます。

そして、クラゲの入ったタモ網をすくって排出します。この作業をクラゲがいなくなるまで繰り返します。

ふたつ目は、箱網内の漁獲物を箱網の奥へと追い込む際に、大目の仕切り網を使って漁獲した魚とクラゲを分離させる方法です。

仕切り網を設置する場所は、第二箱網三枚口の前面に設置する方法と、金庫網の手前に設置する方法があります。

3つ目は、クラゲを網外に自然排出させ、魚だけを網内に残す方法です。

排出網を箱網の奥へ廊下状に配置し、その先端に排出口を設け、クラゲが自然に出ていく構造にします。

4つ目は、箱網の魚捕部に大目合の敷網を装着しておく方法です。

揚網時に、まずこの敷網を引き上げてクラゲと魚を分離し、クラゲだけを排出します。

その後、箱網を引き、漁獲物を獲るという方法です。

大型クラゲを入網させない対策法

しかし、クラゲはいったん網外に排出しても、再び網の中に入ってしまうことがあります。

この問題を解決するために、一部の漁師は以下のような駆除を行っています。

まず、クラゲをかき出す際に、ハッカーなどでクラゲに傷をつけて、弱らせてから網外に排出する方法があります。

この方法は手間と時間がかかりますが、一定の駆除効果が期待できます。

その他に、フィッシュポンプを使う漁師もいます。

直径40センチのラッパ状になった吸い口付きホースを網の中に入れ、クラゲを吸い取り、砕いて排出します。

あまり人手をかけずに対策できるため、効率的に対処することが可能です。

クラゲ対策の方法についてはこちらもご覧ください
「定置網にかかるクラゲを、時間をかけず簡単に処理する方法はありませんか？」