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アスパラガスは露地栽培でどう育てればいい?

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アスパラガスは露地栽培でどう育てればいい?

これまで施設栽培で野菜を育ててきましたが、隣の農家が農業を辞めるというので、圃場の一部を譲り受けました。

それほど大きな面積ではないので、まずはアスパラガスを栽培してみようかと考えていますが、露地栽培はほとんどやっていなかったので、ちゃんと育てられるのか不安です。

基本的なことですが、アスパラガスの露地栽培の方法を教えてください。

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

アスパラガスの露地栽培の作型は3つあり、土壌管理に注意しながら育てます

アスパラガスの露地栽培に向く畑の条件


アスパラガスは根を深くまで張る作物で、地下の「貯蔵根」と呼ばれる根に、光合成によってつくられた養分を貯蔵し、その養分を使って次々に地上に芽を出します。

多くの貯蔵根を十分に伸ばすためには、畑の深い部分(最低でも40センチ程度以上)までよく耕され、栄養分のある畑が適しています。

湿害に弱いため、通気性や排水性のよいことも大切です。また、乾燥しやすい砂地は避けましょう。

光合成や同化養分(翌年の生育のために蓄える養分のこと)の転流に多くの水分を必要とするため、かん水(水やり)用の水が得られやすい場所であることも重要です。

乾燥しやすく、かん水用の水が得づらい畑の場合は、夏場や冬場は敷きわらやもみ殻、完熟した堆肥(稲わらや落ち葉、家畜糞尿などの有機物を微生物の力で発酵させた有機質肥料)などで畝を覆うとよいでしょう。

栽培に向いている土壌の条件についてはこちらをご覧ください
アスパラガスを栽培するための土づくりのポイントは?



アスパラガスの露地栽培の作型


露地栽培の作型は、春に収穫する「普通栽培(春どり)、春と秋に収穫する「二季どり栽培」、春から夏秋まで休まずに収穫する「長期どり栽培」の3つのタイプに分けられます。

普通栽培(春どり)


アスパラガスの「普通栽培」は、特に寒冷地で行われている作型です。

春の収穫が終わった後は、光合成を盛んに行わせて養分を蓄積させ、翌春に向けて株を成長させます。

設備費用もかからず、労力も少なくてすむため、初心者が取り組みやすい作型です。


二季どり栽培


「二季どり栽培」は、春どりで収穫した後、株を成長させるために一旦休みを入れて、成長してから夏秋どりを行います。

収穫を休む期間があるため、稲作や野菜などと組み合わせて栽培することができる作型です。


長期どり栽培


「長期どり栽培」は、春どりを早めに打ち切り、出てくる茎の一部を伸ばして成長させながら、他の若茎の収穫は継続して行います。

二季どり栽培との違いは、春どりの収穫後に休みを入れないこと。そのため収穫は長期に行うことが可能です。

株を成長させながら収穫を続けていくため、収穫量は多くなりますが、手間がかかる、というデメリットがあります。

初心者が栽培を失敗しないためのポイントはこちらをご覧ください
アスパラガスの栽培をはじめようと考えています。初心者が注意すべきポイントは?


このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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