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日当たりの悪い畑でアスパラガスの生育を改善する方法は?

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日当たりの悪い畑でアスパラガスの生育を改善する方法は?

うちの圃場は半日しか日が当たらない、山間の日当たりが悪い畑なのですが、新しくアスパラガスの栽培をはじめようと考えています。

しかし、隣の県のアスパラガス農家さんからは、日当たりの悪い土地で栽培すると、根株の成長が遅くなると言われました。

このような畑でも、アスパラガスを生育する方法はあるでしょうか?

夏秋どりにしたいと考えているので、どうすればうまく栽培できるのか教えてください。

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

アスパラガスに、十分に日光が入るような茎葉の整理とかん水によって改善できます

日当たりを好むアスパラガス


日当たりのよい場所を好むといわれているアスパラガスですが、日照条件を基準にした作物の分類としては、半日程度の直射日光か、木漏れ日程度の日照が一日中あれば育つ「半陰性植物」に成ります。

したがって日当たりの悪い場所であっても、1日に3時間ほど日が当たっていれば成長は可能です。

しかし、収穫する若茎が鮮やかな緑色になるには、日射量が必要です。

とりわけ「夏秋どり」の若茎の色は気象条件の影響を受けやすく、日射量が多いほど色は濃くなります。

アスパラガスの生育は、日射量と光合成によってつくられる養分量にも関係するため、日当たりの良さはとても大切な条件です。


日当たりとアスパラガスの成長との関係


アスパラガスは主に葉に似た「ぎ葉」で光合成を行なっています。

春どりする若茎は前年に貯蔵根に蓄積された養分を使って成長しますが、春どりの収穫を打切った後は、地上部で行う光合成によってつくられた養分が利用されます。

したがって、夏秋どりを行う「二季どり」や「長期どり」の作型では光合成が十分に行えるかどうかが特に重要となってきます。

また、春どりだけの露地栽培でも、翌年の収量を左右する貯蔵根の養分量を高めていくために、収穫打ち切り後に伸長する茎葉の管理がとても重要になります。

そもそもアスパラガスの茎葉は日光を受けやすい姿をしていますが、密植になったり、茎葉が茂りすぎたりすると、株の中心部の日陰になった茎葉は光合成を十分に行なえなくなります。

特に夏秋どりする若茎の生育や緑の着色を促進するためには、茎葉への日当たりをよくする必要があります。

そのため、茎葉を整理して光や風の通りをよくしたほうが、光合成が盛んになって株全体の養分の貯蔵が高まるとともに、病虫害も発生しにくくなります。


日当たりの悪い畑で生育を改善するには?


日当たりが悪い条件を克服し、生育を改善していくためには、どうしたらよいでしょうか。

まずは茎葉を整理し、光合成の効率を向上させましょう。

混み合った茎葉を切り詰めると株元に到達する光の量が多くなり、生育もよくなり、若茎色も濃くなります。

過度に茎葉を除去してしまうと、光合成の養分生産能力が落ちて収量低下につながるため注意が必要です。

また、土づくりや追肥などの肥培管理も重要ですが、注目したいのがかん水(水やり)です。

アスパラガスも含めて植物は大部分が水分でできているので、かん水を工夫することで収量や品質を向上させることができます。

土づくりに関してはこちらもご覧ください
アスパラガスを栽培するための土づくりのポイントは?
アスパラガス栽培に鶏糞を使うと、どんな効果がありますか?



露地栽培ではハウス栽培に比べると定期的にかん水することは少なく、自然任せにしているのが一般的ですが、かん水はアスパラガスの生育に大きく関わっています。

特に夏場の水の蒸散(植物体から水分が放出されること)量は大きく増えるため、春から夏にかけて少しずつかん水量を増やし、できれば毎日かん水を行うことで収量アップにもつなげることができるはずです(排水が不良な水田転作圃場の場合は十分な排水対策も必要になります)。

また、かん水することで肥料の吸収もよくなり、肥効も今まで以上に安定してきます。

なお、かん水量を増やす場合には施肥量もやや増やしたほうがよいでしょう。

雨よけハウスでの栽培における潅水の仕方についてはこちらの記事もおすすめです。

露地栽培や失敗しない栽培方法はこちらをご覧ください
アスパラガスは露地栽培でどう育てればいい?
アスパラガスの栽培をはじめようと考えています。初心者が注意すべきポイントは?

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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