長崎県でサバやアジの養殖をしています。国内の魚の消費量が年々減っていて、私たちの会社も以前より出荷量が減り、売れ残りの魚のエサ代などがダメージになっています。
しかし、アジアを中心に世界的には魚の消費量が増えているとニュースで報道されています。
輸送技術の発達や食品流通の国際化により、海外では消費量が増えているそうです。
今後を考えたとき、うちの会社も海外の市場にも目を向けるべきなのではないかと考えています。
まずはアジアを中心に魚を輸出できたらと思いますが、まずどうすればいいのでしょうか?
(長崎県・駒井さん/仮名・40代)
NPO法人イドバタ
NPO法人イドバタ
水産品を海外に輸出するには、地域の農政局や流通事業者に相談しましょう
人口が減っている日本から、人口が増えている消費地に輸出するのは良い戦略ですね。日本国内での新規販路開拓と同じく、確認すべきことを大まかに記します。
まず「需要」の確認です。サバやアジを養殖していられるとのことですが、アジアの中で、自国で揚げた魚ではなく、わざわざ日本の養殖サバやアジを買いたい人がいるのかを確認しましょう。
サバは加工用にベトナムやタイなど東南アジアに輸出されています。
用途によりサバの需要も変わるので、輸出を考えるのであれば、どういった形で輸出をするのが最適なのかを考えることも重要です。
次に、輸送方法の確認です。航空便と船便のどちらを利用するのかで運送費が変わります。
運送費が高くなると、その費用を輸出品であるサバの価格に上乗せしなければいけません。
そのため、費用と鮮度のバランスを考えながら、輸送方法を検討しましょう。
最後に、輸出決済方法の確認です。リスクの取り方によって決済方法が変わり、手数料が変わります。
輸出する側にとっては100%前払いで着金を確認した後に商品を輸出することが最もリスクが低く、L/C決済、D/P・D/A決済、TT決済の順にリスクが高くなります。
購入いただく方と、リスクをどのように分担するかを交渉したうえで、決済方法が決まるため、自社単独で決められません。
その他、必要諸経費などを差し引いて利益が残るか、あるいは利益が残る売値で買ってもらえるかの確認が必要です。
上記のように、輸出する際にはさまざまなバランスを考慮しながら、どういった形式で輸出するべきなのかを検討していかなければいけません。
とくに、輸出方法や決済方法は条件次第でコストや利益も変わってくるので、そういった諸経費を除いてもしっかりと利益を残せるのか、確認しましょう。
また、輸出先国が輸入規制をかけていることもあるため、法規制の確認も必要です。
農林水産省が「GFPグローバル産地づくり推進事業」として輸出支援の枠組みを用意しているので、まずは地域の農政局にご相談されることをおすすめします。
補助金を使用する場合、スケジュールや報告などの義務を負うことになるため、商社などの現地に販路を持つ流通事業者に一度相談してみてもいいかもしれません。