田んぼで稲と転作作物として麦、大豆を栽培しています。
麦はこれまで麺用の「さとのそら」を栽培してきましたが、今年からパン用小麦として人気のある「ゆめちから」も育ててみようと思い、種苗会社から購入して2反ほどの田んぼに蒔きました。
もし成績がよければ、来年以降は少し面積を増やしていこうと思っています。
無農薬栽培をしているので、来年は種子も自分の田んぼで採れた麦を温水で種子消毒して使いたいと考えています。
「ゆめちから」は農研機構が育成権者の登録品種だと思いますが、種苗法に従えば許諾をいただかないといけません。
その場合、農家個人でも許諾を受けることは可能でしょうか?また、その際に使用料の支払いは必要なのでしょうか。
育てた種子を販売することはありませんが、無料で友人に譲渡することはあるかもしれません。
種苗法が改正されたので、法律に違反しないよう、どうすればいいのか教えてください。
(埼玉県・小林和文さん/仮名・50代)
竹下大学
技術士(農業部門)J.S.A.ソムリエ
農研機構育成の登録品種は自家採種可能なものが多い。「ゆめちから」は許諾不要です
種苗法の一部改正(令和2年12月成立)により、令和4年4月1日以降、登録品種については育成者権者の許諾が必要となりました。
ご質問者は登録品種の「ゆめちから」を自家採種したいとお考えのようですが、育成者の許諾を得れば自家採種することは可能です。
農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)は「国立研究開発法人」として、国の予算で農業や食に関する研究・開発を行なっている機関です。
当法人が育成した品種は国民の税金で開発されたということになりますので、基本的には自家採種が許諾されないことはありません。
また許諾料が必要となった場合でも安価です。
詳しくは農研機構のサイトでご確認いただけますが、「ゆめちから」については自家採種に際して許諾の必要もなく、無償となっています。
今回のように、育成者が国の機関である農研機構や都道府県の試験研究機関などの公的機関であれば、許諾が不要な場合もあります。ただし、登録品種を自家採種する場合には原則として許諾が必要です。
許諾が必要ない唯一の例外は、生産物を一切出荷せずにご自宅で消費する場合のみとなります。
なお、農研機構で育成された登録品種も含め、登録品種はたとえ無償であってもご友人に自家採種した種子を譲渡することは種苗法違反となりますので、注意してください。