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農家向けの労災保険は「掛け捨て」「途中解約が不利」のようなデメリットはあるの?

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農家向けの労災保険は「掛け捨て」「途中解約が不利」のようなデメリットはあるの?

東京郊外にて、両親と私たち夫婦で梨やぶどうなどを栽培しています。先日、隣県の親戚が脱穀機でけがをしてしまい、仕事もままならず、治療費なども含め予想外の出費があったと聞きました。

農作業中の事故や夏の熱中症対策などには気をつけていますが、安全管理や健康管理を見直しつつ、保険面でも備えておくべきだと痛感しました。

なじみの直売所では、「労災保険」のパンフレットを置いていますが、積極的に加入をうながすようなことはしていません。

また、周りに加入している同業者がおらず、なんとなく見て見ぬふりをしています。それというのも、保険に対して苦手意識やマイナスイメージを持っているからです。

加入の条件や保証の内容など、農家を対象とした労災保険の仕組みはどのようになっているのでしょうか。「掛け捨てになって結局ムダ」「途中解約しても、ほとんど返金されない」のようなことはありませんか?
(東京都・岸さん/仮名・40代)

中村雅和

いのしし社会保険労務士事務所所長/農業労災事務センター常務理事/社会保険労務士

個人事業主でも労災保険に入れますが、東京都は難しいかもしれません

農作業中の事故で年間300人前後が死亡し、国も事故防止や労災保険の加入促進をしています。

通常、自営業者や会社経営者は労災保険に加入できませんが、農業を含む事故が多い業種には「特別加入」という仕組みがあります。

加入すると、事故時の病院代は原則、無料。休業したり、障害を負ったり、死亡した場合の補償も手厚いです。加入は年度単位で、保険料は原則、掛け捨て、年間ひとりあたり1万円から5万円程度を見込みます。組合・団体によっては別途、加入金を取ります。

加入するには、まず労働者を雇っていれば、商工会などの「労働保険事務組合」を通じて「中小事業主等(中小)」という加入ができます。

労働者を雇っていなければ、「指定農業機械作業従事者(指定)」や「特定農作業従事者(特定)」という仕組みがあり、それを運営する団体を通じて加入します。

「中小」が原則、全ての農作業での事故が補償されるのに対し、「指定」は国が指定した農業機械で、「特定」は国が特定した6種類の農作業(高所作業や動力機械での作業など)で、それぞれ事故に遭ったときにのみ補償されます。

ただ、指定や特定の団体は東京都にはほぼなく、都内での設置は急務と言えます。

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K.K.さん

元JA職員

労災保険の未加入はデメリットが大きいです。万一に備えるなら加入を検討してください

労災保険に未加入のケースでは、労働災害発生で農業者本人・家族がケガをした場合、国民健康保険を利用することとなり、3割等自己負担が発生する可能性があります。

事故をしたときのことだけを考えても、労災には加入すべきです。保険料負担は、年間で2万円~10万円前後(掛け捨て、必要な保障額によって幅広く掛金を選択できる)を想定してください。

加入するメリットとしては、療養給付・休業給付・障害給付・遺族給付・葬祭給付・傷病年金・介護給付など、あらゆる事故時の給付があります。

また、万一の際にさまざまな労災保険からの補償が受けられます。条件を満たしている場合は、加入をおすすめします。

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