埼玉県深谷市にて、親子2世代で鉢物を生産している40代です。
近年多発する自然災害を見ていると、明日は我が身と思い戦々恐々としています。
もしもの時の備えが重要だと思うのですが、経営に関する実務は今まで親任せにしていたので、ここに来て焦っています。
同年代の農業仲間はそれぞれ加入しているらしく、今さら恥ずかしくて聞きづらいのですが、いわゆる農業保険について、知識のない私にも理解できるように教えていただきたいのです。
身近なところで農協が提供しているJA共済がありますが、そもそも農業保険との違いはなんなのでしょうか?
それぞれの特徴やメリット、デメリットなどをゼロから知りたいです。
(埼玉県・小川さん/仮名・51歳)
木下 徹
農業経営支援研究所
農業共済+収入保険は公的保険でお得。目的に応じて使い分けを
さまざまなリスクに対応するのが、農業保険です。農業保険には「農業共済」と「収入保険」があり、保険料の一部は国が補助します。
農業共済とは、政府と各地の農業共済組合(通称「NOSAI」。JAとは別の組織)によるものです。
自然災害による収量減や施設破損などに対応し、国庫(国が)負担をしてくれますが、野菜などの園芸作物はほとんど対象にならないことや、風評被害などによる収入減には対応しないなどの欠点もあります。生産施設に対する補償は、民間の損害保険と同等です。
収入保険は、比較的最近できた制度で、ほとんどの農作物が補償の対象であること、収量ではなく収入の減少に対する補償であることが特長です。
保険料が割高に感じるためか加入者は多くありませんが、補償の内容を考えると妥当でしょう。最近では、保険料が低いものも出てきました。
最後に、JA共済ですが、民間の生命保険や損害保険と同様のもので、農家を含め広く地域住民を対象にした保険と言えます。特に農家向きといった内容ではありません。
農作業中の事故に対する保険は厚生労働省管轄の「労災保険」に入るのが基本で、補償を厚くするためにJAや民間の傷害保険があるとお考えください。労災保険は事業主が従業員のために加入するものですが、農業の場合はJAや商工会・社会保険労務士を通じて、「特別加入」として事業主本人が加入できます。