5年前から毎年、職場体験として地元の中学生を数名受け入れています。
いつも3日間の受け入れで、これまでの体験の内容は学校側の希望もあって「簡単な農作業」「出荷の準備」「直売所での売り子」という作業を手伝ってもらってきました。
職場体験の後には感想のお手紙をいただき、少しは農業を知ってもらえるお手伝いができたかな…などと思っています。
しかし、以前から感じているのですが、作業の手伝いも大切ですが、もう少し子供の主体性を活かせるようなことをしたいと思っていました。
いろいろと調べてみると、子供向けの職業体験施設「キッザニア」では、創造性のある仕事が人気だそうです。
そこで次回は少し趣向を変えようと考えています。
具体的には、農作業はそのままで、出荷の準備や直売所の作業の代わりに「直売所の宣伝POP案を出してもらう」「ネット販売のキャッチコピーを考えてもらう」など、商品PRをしてもらおうと考えています。
学校の先生に相談したところ問題はなく、とても喜んでもらえました。
しかし、私たちは宣伝の専門家ではないので、ちゃんと教えられるような知識がありません。
実際に受け手として何を準備すればいいのか、アドバイスをお願いいたします。
(埼玉県・川島さん/仮名・50代)
香取岳彦
ベジLIFE!!
3日間で“農業経営”を経験してもらったらどうでしょうか?
ご質問いただき、まことにありがとうございます。
東京都心からJR常磐線で1本の千葉県我孫子市で、畑での食育を兼ねて野菜を作っている「ベジLIFE!!」の香取です。
私の農園では、「農業を子供のあこがれの職業にする」をモットーに、近隣の学校の生徒さんを招いた農業体験などを行なっております。早速、回答してまいりましょう!
受け入れが3日間という短い期間ですので、毎日同じ作業をしても、参加する子供たちの作業技術を高めることはできないと思います。
そこで期間の短さを逆手に取って、3日間で農家のいろいろな仕事を体験してもらう方が良いかと思いました。
私がご提案するのは、販売と経費を実際に算出する「プチ農業経営実戦」を取り入れてはいかがでしょうか?
イメージとしては、自分たちで宣伝し、収穫、袋詰め、販売、最後に収支を計算する形式です。
中学生くらいの世代ならば、団体活動も可能ですので、チーム一丸となって計画&実行してもらい、ある程度自発的に任せても良いと思います。
例えば、以下のスケジュールなどはいかがでしょうか?
1日目午前:畑の見学、農作業 /午後:販売計画と宣伝媒体の作成
2日目午前:宣伝のためポスティング/午後:翌日の販売準備(収穫、袋詰め、POPや看板作り)
3日目午前:実践販売/午後:反省会やディスカッション
反省会では、実際の販売売上から、3日間の人件費や経費を差し引いて利益を算出してもらいます。
おそらく赤字になりますが、実際の農業では、単位時間あたりより多く販売している実例を紹介したり、指導を担当する相談者が指摘して、この部分の支出を削減できるなど、レビューすると良いと思います。
また、実際の体験から、次回同じような機会があれば、どんなことに挑戦したいかを全員でディスカッションしても良いと思います。
おしまいに農家の苦労を話すことで、プチ体験をした中学生も農業に対する理解が深まり、一層共感できるようになるのではないでしょうか?