宅地化が進んでいるエリアで農業を続けている二代目です。私の父が所有していた農地は徐々に手放し、現在は20アールほどの圃場で旬の野菜を栽培しています。
農地の周りはここ20〜30年ほどでだいぶ変わり、近隣には住宅も増え、農家と地域住民の関係もより近くなってきたような気がします。
私もできる範囲で地域活動に参加して、ここ10年ほどは職業体験や農業体験への協力、子ども食堂など、地域の農業活動に貢献してきました。
宅地化が広がっているエリアなので、地域の方々からは「緑を守ってほしい」「農業を続けて欲しい」と言われていますが、難しいのが現状です。
一人息子は転勤族のサラリーマンで、とても後継者になってくれそうにありません。しかし、関わってきた「地域の農業活動」だけは続けていきたいと思っています。
どうすれば、こういった活動を継続していけるのでしょうか?
(神奈川県・八巻さん/仮名・60代)
香取岳彦
ベジLIFE!!
農業を生かした地域活動への協力者を少しずつ増やし、良い人が集まる環境にしていきましょう
私どもが農業している千葉県我孫子(あびこ)市も、鉄道が通ったことでベッドタウン化してしまい、農地だった場所の多くが宅地化してしまいました。
まさにご相談者さまと同じような境遇です。非常に残念に思いますが、悔やんでも元には戻りません。
現在は、地域住民との融和を目指して活動しております。
それにしても、60代後半に差し掛かっても、農業体験・職業体験・子ども食堂に関する活動と多岐にわたってご活躍されているのは、とても素晴らしいことですね。
これだけの多くの活動をされているのであれば、非常に活力のある方なのでしょう。この先10年以上は農業を中心とした活動ができるのではないかと思います。
今後の方向性としては、今の活動を大切にしつつ、各活動の中で協力的な人たちが、さらに「一歩踏み込んだ協力者」になってもらうように指導することが大切だと思います。
私も地元住民向けに農業体験を実施しておりますが、ボランティアスタッフのうち、対応に慣れたメンバーは、私が不在でも来園者の対応ができるレベルまで上達しています。
自分がやっている事業を任せられる協力者を少しずつ増やすことにより、事業を安定して進めることができるようになります。
関係の深い協力者を少しずつ増やし、良い人が集まる環境になればしめたもの。
自然と楽しい雰囲気となっていき、もしかすると何かのタイミングで息子さんも手伝ってくれるようになるかもしれません。
ひと昔前は副業など想像できませんでしたが、現在では副業を取り入れ始めた大企業も多く、10年後はどのような働き方になるか想像つきません。
まずは目の前の体験事業を大切にしつつ、長い目で事業継承を考えるのがよろしいかと思います。