京都でハウス栽培と伝統野菜に力を入れている40代の農家です。
これまで、農協や地域コミュニティの活動には「お付き合い」として参加してきましたが、本当に嫌気が差してきました。
保守的な土地柄なので、誘われるのは地域の行事や選挙などばかり。
こういった活動が誰の役に立っているのか疑問ですし、憂鬱にもなります。
それよりも、もっと社会に役立つ活動がしてみたいです。
大げさかもしれませんが、子を持つ親として、未来ある子供たちに農業を通じた貢献ができないかと考えています。
食育や子供食堂、災害時の避難場所や食糧支援など、日々の農作業の傍らでもお手伝いできることはありませんでしょうか?
農業と福祉の連携で、障がい者などが農業に携わる「農福連携」という取り組みもいいなと思います。
こうした農家の活動について、具体例やアドバイスをいただきたいです。
(京都府・駿河さん/仮名・40代)
鈴木厚志
京丸園株式会社 代表取締役
まずは社会貢献かビジネスかを明確に。うまくやればビジネスにも有効
私の経営する農園では、20数年前より障がい者の方の雇用をはじめ、現在、全100名の従業員のうち24名が障がい者です。雇用のきっかけは、人材募集しても応募がなかったことです。
はじめはお断りしていたのですが、面接に同伴したお母様の「無給でもいいので雇ってもらえないか」との言葉に心を動かされ、まずはボランティアで来ていただくことに。すると、驚くことが起きました。
当時は少人数の家族経営でしたが、その方たちが来てから職場の雰囲気がガラッと変わり、生産効率がアップしたのです。これはビジネスにも有効と確信し、正式に雇用することにしました。
障がい者が働きやすい環境であれば、高齢者や女性も働きやすくなります。農業は衰退産業かつ人手不足ですから、来てくれる方に合わせて環境を変えなければ生き残れないと痛感しました。
おかげさまで、その後法人化し、当時6千万円ほどだった売上は現在4億円ほどです。
農業と福祉は相性のよい分野だと思います。質問者様へのアドバイスは、社会貢献なのか、ビジネスなのかを明確にすることです。
私たちは自らの力をつけることが重要と考え、ビジネスとして行っていますが、国や自治体から補助を受けながら社会貢献として運営する方法もあります。
私たちがビジネスとして農福を捉えるのは自分たちが主となれるから。人の土俵の中で動くよりも自分の土俵で動く方が楽しめると思っています。