葛南の都市近郊で、主に葉物野菜を生産・出荷している50代です。
新型コロナウイルスの影響で、巣ごもり需要が高まっているというのをニュースでみました。
私の家の売上も、昨年は近年で一番高いものとなり、これも、外食が減り、家庭での料理需要が増えたことによるものだと感じています。
また、ホームセンターやネット通販では園芸用品の売上が好調だというのも耳にしました。マンションなどの集合住宅でも、ベランダ菜園や水耕栽培ができるらしく、農業の魅力に気付く人が増えているようです。
農家でない人が土地を借りて野菜や果物を育てる市民農園も人気で、キャンセル待ちが出ているところもあるのだとか。
そんな話を耳にしたので、私も所有している農地の一部を市民農園や体験農園として開放するなど、活用の仕方を検討してみたいです。気軽にできるものなのでしょうか?
また、準備することや知っておくべきことはありますか?
(千葉県・尾花さん/仮名・50代)
全国農業体験農園協会
全国農業体験農園協会
人手不足が解決して安定収入、交流、地域活性化などいいことずくめにできる可能性
消費者が農業を体験する農園には、主に農家さん自身が開設、運営する「農業体験農園」と、自治体が農家さんから農地を借り受けて運営する「市民農園」があります。最近では、企業が開設するケースもあります。
私たちNPO法人全国農業体験農園協会では、体験農園を運営している農家さんが会員となり、体験農園の開設や運営についての情報提供やサポートを行っています。現在、関東・関西・九州を中心に130程の農園が会員になっています。
「農業体験農園」の基本的な仕組みは、以下の通りです。
・園主(農家)が利用者に野菜作りの指導をする
・作る野菜は園主が全て決める(20~30種)
・収穫した野菜は全て利用者のものになる
・種や苗、肥料や大きな農具などは園主が用意する
・毎年、利用者と農園の利用について契約を交わす(利用者に農地の利用権・賃借権など法律上の権利は発生しない)などとなっています。
農園の1年を通じた年間のスケジュールは、2~3月に新年度の入園者説明会や募集・契約を行ったうえで、園主の指導のもと、主に春夏・秋冬野菜を作付けします。
適宜栽培などに関する講習会を開催し、利用者は自分の区画でできた野菜をそれぞれのタイミングで収穫するという流れです。
農園ごとに特徴はありますが、1組ごとに1区画(約15~30平米)を利用する区画制を採用しているところが多く、はじめは無理のない区画数(10~30区画)での開設、運営がおすすめです。
区画数の多い農園には、180区画を運営されている園主さんもいらっしゃいます。利用料は、1区画年間3~6万円での設定が標準となっています。
園主となる農家さんのメリットとしては、毎年2~3月に契約数が確定するので翌年度の収入見通しが立つことや、農作業の省力化により、身体の負担が軽くなるということが挙げられます。
また「消費者と直接話ができるのが何よりも嬉しい」という声も多く聞かれます。
さらに、災害時の避難場所として農園を提供できるよう、地域の防災訓練などに協力している農園もあり、年間を通じた交流がはかられる事により農園が地域や利用者のコミュニティの場となっています。
「農作業を担ってきた家族が高齢化したが、脈々と受け継いできた農地に消費者を呼び込み、活かしたい」「都市農業・農地の持つ役割を発揮したい」など、体験農園の開設に興味をお持ちの方は、当協会でも相談を受け付けていますので、お問い合わせください。