地域の方や旅行者の方に、もっと農家を近くに感じて欲しいと思い、定期的に道の駅のイベントに出店しています。
まず興味を持ってもらおうと、畑で作っている野菜をほとんど原価に近い値段で売り出しました。
ほかにも、農業に興味のある方には無料農業体験の案内チラシを配り、後日私の畑で収穫体験をしてもらうイベントも行なっています。
評判は好調で「こんなに安く買えるなんて」という声や「旅行先で子どもに農業体験をさせることができて良い思い出になった」という声をいただき、イベントへ出店してよかったと思っています。
しかし本業である農業は台風などで収穫が不安定な時もあるので、定期的に開催されるイベントでもっと売り上げを伸ばせたらいいのではないかと思い始めました。
最初に利益追及せず始めてしまったこともあり、野菜の単価を上げることや農業体験にお金を頂くのは気が引けますし、甘いかもしれませんがなるべくならしたくありません。
別の方法があったら、ぜひ教えていただけないでしょうか。
(青森県・小林拓さん/仮名・40代)
脇坂真吏
AgriInnovation Design/東神楽大学学長
仕事と趣味の線引きをしっかり持つことが重要です
農業に対して大変強い想いをもたれてらっしゃることが、よく伝わってくるお悩みですね。そうした方にお伝えしたいのは、まず趣味か仕事かどちらの活動なのか整理してほしいということです。
「もっと農家を近くに感じて欲しい」という想いから始められたことは素晴らしいと思います。一方で、それを無償や原価で提供している時点で、仕事ではなく趣味であると私は考えます。
趣味は悪いことでは決してありません。しかし、このような悩みが出てきた時点で、質問者様も気づかないうちに重荷になってきているのではないでしょうか。
まず無償か有償かはいったん脇に置き、その活動を一時的に辞めることで、改めて趣味と仕事の線引きをしてみてはいかがでしょうか。
仕事として農業体験を行うのであれば、当然ですが費用を取ってやるべきです。農家から縁遠い人にとっては、非日常の活動になりますので時間とお金を割いて行う価値ある体験となります。
趣味として割り切るなら、仕事以外の時間として割り切って普及活動されると良いと思います。
その際に、もし他の方法でやってみたいということでしたら、ネットを使った配信はどうでしょうか。
最近では農業の魅力を発信するためにSNSやYouTuberなど様々な方法を行なっている方が増えましたが、私としては「おいしさ」を届けるコトが最も重要であると思います。
野菜を正規の値段で卸したいということであれば、飲食店とつながって、朝採れ野菜を提供してくれるメニューを一緒に考えるなども方法のひとつではないかと思います。