京都丹波で白大豆を作付けしています。
栽培面積は1町ほどで、豆腐や湯葉などの加工業者に卸しています。
国産の白大豆はまだまだ生産量が少なく、作れば売り先に困りません。
しかし、現在悩んでいるのが発芽率の低さです。
一般的に大豆の発芽率は低めで、圃場によっては欠株が頻繁にあるほどです。
私は「京白丹波」と「サチユタカ」を栽培していて、作型は露地の春作栽培ですが、発芽率は平均で70%ほどです。
発芽率を少しでも上げることができれば、収量も向上するかと思うのですが、発芽率を高くする方法はないでしょうか?
(京都府・山田さん/仮名・40代)
京都府農林センター作物部
播種前にある程度種子に給水させると発芽率は良くなります
この問題について、京都府農林センターでは、播種の深さによる発芽率について調べたことがあります。
その時は、いずれも京都で開発した大粒の「新丹波黒」と「京白丹波」を、秋の長雨時の土壌を想定した湿潤土壌と、ハウス内の乾燥した土壌で、それぞれ1cmずつ深さを変えて撒いて、播種後10日と15日で発芽率がどう変わるかを比較しました。
結果として大豆の直播栽培は、播種時期が梅雨にぶつかるので難しいです。
京白丹波は、丹羽産の黒豆「紫ずきん」と「玉大黒」を掛け合わせて作った極大粒の品種ですが、大豆は粒が大きくなればなるほど、給水した時に水に接する表面と、中心部の含水率に大きな差があるので、組織が断裂して、亀裂が起こりやすい(ソーキング・エフェクト)のです。
したがって、梅雨時に播種するのは、給水が急激に進むため、大豆の組織に影響が大きく発芽率が悪くなるのではないかと考えています。
大豆が乾燥している状態であればあるほど、給水速度が速くなるので、播種前に大豆に含まれる水分量を一定量に調整しておくことが失敗しないコツなのではないでしょうか。
簡単にいうと、湿度の高い環境に置くということだが、例えば、濡れたタオルで包んでおくとか、一定時間、水に浸けたのち、上げておくなどの水分管理が必要です。
原田清弘
一般社団法人 京都府農業会議 京都アグリ創生 現地推進役
排水対策と種子消毒と除草対策で発芽率は向上します
直播栽培の白大豆の発芽率が低いのは、(1)排水対策、(2)種子消毒、(3)除草対策のいずれかが原因と考えられます。
排水対策をしっかりしないと、土壌に含まれる水分が多すぎる過湿状態になって、種子が腐敗します。
降雨の後、畝間に水が貯まることがないよう排水対策を講じてください。
また、種子の殺菌処理剤「クルーザーMAXX(殺菌、殺虫剤)」で消毒することもおすすめします。
大豆を播種したあと、出芽する前に雑草対策として「トレファノサイド粒剤」か「トレファノサイド乳剤」(除草剤)を散布しておきましょう。これらは農薬なので使用方法、量、使用時期を守ってください。
この3点をしっかり実施すると発芽率は向上します。
また、欠株を少なくするため、2粒播種も検討されてはいかがでしょうか?