枝豆を中心に10種類ほどの野菜を露地とハウスで作っています。
圃場は町内に5カ所あって、それぞれは近所なのですが、ちょっと移動が面倒くさいです。
これまで、定植は近所に住む農家仲間からクボタの全自動野菜移植機を借りてやっていたのですが、ここ数年は天候の関係で予定していた日に借りられないことが多くなり、地道に手作業ですることが重なっています。
定植は単純作業ですから、家族経営でも時間給のアルバイトを雇っている場合もあるようですが、うちはそれぞれの圃場が1反ほどとそれほど広くないので、あえて人を雇うほどではないと考えて、今回もひとりで対応しました。
すると今日は、途中で急用が入って数回手を休めることになってしまったために、枝豆を1,000株植えるのに8時間もかかり、しかも腰と膝を曲げるのがつらくて酷い目にあいました。
とは言え、高価な機械を買うことはできないので、せめて農家仲間から農機具を借りられないときでも手作業で定植を楽にこなせるような、便利グッズはないでしょうか。
(埼玉県・町田さん/仮名・50代)
龍 慶介
てしまの苗屋/てしま農園
立ったまま作業ができる手動式の移植機は、安価な上に膝や腰への負担もかかりません
「低予算」と「手動」というふたつの条件をクリアする道具としては、手動式の移植機を使う方法があります。
予算的には、安いものでは4,000円~6,000円程度のものから販売されていますが、ここではポピュラーなもののひとつ、みのる産業の「ハンドプランター」を例に挙げて説明したいと思います。
使い方は単純で、先端(下側)にクチバシ状の開閉器がついた筒状の本体の上から苗を投入し、ハンドルを握るとクチバシが開いて定植できます。
原始的な作りですが、立ったまま作業ができるので膝や腰に負担がかからず、ラクに作業を行なえます。
難点は、筒の直径が5cm、7.5cmなどと決まっているため、使用できる苗のサイズが限られてしまうことでしょうか。
ひとりで効率良く作業を行うためには、肩掛けできるかごに苗を入れ、それが植え終わるあたりに補充用の苗を置いて準備しておくと良いでしょう。
「肩掛けできるかごに入る苗の数×苗間」で手持ちの苗が植え終わるまでの距離が計算できますので、あらかじめ等間隔で補充用の苗かごを配置しておくのです。
そうすれば、手持ちの苗かごが空になったタイミングで次の苗かごと交換することができます。
十時伸啓
株式会社リンク
年に数回しか行わないのなら、レンタルやシェアリング、中古を安く購入するのも一案です
よくご利用いただく農家さんからの情報によりますと、サンエーさんが出している「移植兼植え穴あけ」(ホーラー)は、立ったままで簡単にマルチに穴を開けて苗の植え付けができる便利なアイテムだそうです。
また、相談者さんは農家のお知り合いから農機具を借りていらっしゃるとのことですが、年に数回しか行わない作業とのことですので、必要な日数だけ農機具を借りられるレンタルサービスを利用してみるのはどうでしょうか。
農機具店が整備した農機具を借りることができるので日常的なメンテナンスは不要ですし、購入時に高いお金を払わずに農機具を使えます。
例えば、耕運機や管理機、草刈り機などの小型の農機具をはじめ、トラクターやコンバイン、田植え機などの大型農機具もレンタル可能です。
自動車業界ではカーシェアリングが一般的になってきましたが、農機具シェアリングは2019年にJAが始めたことを機に、今後、徐々に一般化されるのではないかと予想されています。
私たち「農機具王」でも、宮崎では一部の小型の農機具と工具をレンタルしております。(貸し出しの範囲は今のところ宮崎店近隣のみです)。
弊社の他にも、和歌山県の藤原農機さんが行なっている「アグリズ」では、メインは小型農機具ですが、インバーター発電機まで借りることができます。
全国対応していますので、近場で借りられない時はお願いするのがおすすめです。
また、JAでは大型のトラクターやコンバイン、田植え機のレンタルが可能ですので、お近くのJAにも相談してみてください。
相談者が居住する埼玉県でしたら、瀬山農具製作所さんが、大型農機具、小型農機具、工具、ドローン、重機などのレンタルを行なっています。
最後にご提案ですが、中古の農機具を安く購入することも一案です。もちろん、「農機具王」では中古の野菜移植機の取り扱いも行っています。
どうしても手作業がつらく、機械が必要である場合には、ご紹介することも可能です。