有志で種苗に関する研究会の活動を行っています。
内容は、日本各地に古くからある伝統野菜について学ぶことが中心ですが、自分たちでも実際に野菜を育てて、食べ比べなどもしています。
2020年11月に、日本で品種登録した農作物の品種を、海外へ不正に流出するのを防ぐことを目的とした「種苗法改正案」が可決されましたが、今後の在来品種などの自家採種がどこまで自由になるのか不安感を強く持つようになりました。
そこで、こんな状況だからこそ自分たちができることを積極的に実行していこうとメンバーと一緒に考え、種苗交換会を開催することにしました。
大規模なイベントを考えているわけではありませんが、関西を中心に近隣エリアの農家さんに声をかけ、交流をメインにした種苗交換会にしたいです。
また、種苗のことを多くの人に知ってもらいたいので、一般の人にも楽しんでもらえるような企画も考えています。
そこで、実際に開催にするにあたり農林水産省への許可は必要でしょうか?
法的な部分での注意点や、相談した方がいい組織や団体を知りたいです。
また、地域の後援などもいただきたいと考えています。
どういった手順で進めて良いのか、教えていただけますでしょうか。
(滋賀県・山本圭さん/仮名・40代)
福田豊治
日本種苗協会 専務理事
種苗法の改正は品種の研究や開発、イベント開催の妨げにはなりません
種苗法は、新たに開発された品種を農林水産省が知的財産として登録して保護する法律です。新品種の研究を制限するものではありません。
したがって、仲間同士で種苗の研究会を作ることはまったく問題ありません。
インターネット上では少し神経質に思える書き込みなども見受けられます。気になるのは当然ですが、どうぞご安心ください。
秋田県で行われている種苗交換会と同じようなイベントを開催することも自由です。
もちろん農林水産省への許可も必要ありません。もしも研究会を作ったり、運営していくうえで不安があれば、私どもに問い合わせいただければ、できる範囲で個別に相談を受けることはできます。また、各県にいる会員や種苗会社を紹介することも可能です。
我が国の新品種は、種苗会社のみならず、都道府県の公設試験場、農研機構、個人の品種開発者等によって開発されています。
種苗法の改正は、そういった方々の優良な新品種の流出を抑止する法律です。つまり、品種の保護を強化することで品種開発が進み、農業者の品種の選択の幅が広がっていく手助けとなるわけです。
もちろん在来品種は自家採種できます。種苗法で登録された品種でも、すべての特性が同じにならない限りは登録品種の権利は及びません。
種苗法の改正に関する詳しい内容やよくある質問などが、農林水産省のWebサイトに記載されていますので、そちらもご覧になってください。